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1977 Imperium

Imperium [CGC / GDW]

The Original "Imperium" was published from the Conflict Game Company in 1977. The reprint was issued by Game Designers' Workshop (GDW) in 1979 and the revised edition came out in 1989. The "Imperium" was designed by Marc W. Miller, Frank Chadwick and John Harshman. HobbyJAPAN CO., Ltd published a japanese edition in 1985, and Kokusai-tushin Co., Ltd. issued a Japanese version of the second edition in 2001 and 2019. The game was issued by eight countries. I think "Imperium" is the best Sci-Fi game yet published.

 私がこのホビーにおいて、多大な影響を受けたゲームが2つある。1つは"UP FRONT" [AH]、もう一つは"IMPERIUM" [CGC / GDW]である。特にImperiumは、私のゲームの好みをSci-Fi方向に決定したシミュレーションと言って過言ではない。もっとも、このゲームを知ったのは、1985年のホビージャパンの「インペリウム」日本版がでたときである。

 最初に買ったインペリウムは、2年かからずにボロボロになり、新しく買い直した(ボロはSPLさんに譲ったはず)。2個目は、ユニット表面をコーティングしたりして、耐久性を上げ今でも使っている。1個目と2個目ではタンカーのルールがタクテクス誌21号の修正に従って直されていた(実は、元の文章が正しい[1])。

 最初に自慢の逸品として、コレクターアイテムであるConflict Game Co.の1977年6月7日出版記念、Marc W. Millerのサイン入り"IMPERIUM" (No.9 / 10)の未開封品をFig. 1に示す。e-bayを利用することで、このような物まで入手できるようになった。ありがたいことである。


Fig. 1 "IMPERIUM" signed by author in 7 June 1977

 Fig. 2のConflict Game Co.のオリジナル版Imperiumは、1988年に知人に輸入してもらったものである。ハードマップに、オリジナルの紙のトレイ、オリジナルの赤クリアダイス付きである。CGC版のルールとホビージャパンの日本語訳と異なっていたため、CGC版とGDW版でルールが変わったのではないかと考え、GDW版を探すことになった。これが、Imperiumをコレクションするスタートとなった。カバーアートは、Stephen Fabian のイラストである。


Fig. 2 Game components of Conflict Game Company Edition of "Imperium".
The CGC version includ trays made of paper. The cover art is drawn by Stephen Fabian.

 Fig. 3はCGC版の裏箱である。"IMPERIUM"の文字、左上の円、右下の囲みの色が緑色と赤色で異なっている。CGC版はトータルで10794箱に出版されているが、2色同時に販売されていたのか、出版時期の違いなのかは不明である[2]。


Fig. 3 Two types of "Imperium" back boxes
The circle pattern and the letters "IMPERIUM" on the back box are different for green and red

 Fig. 4はGDWでreprintされた平箱(11 x 14 x 1 inch)版"Imperium"である。ホビージャパンが1982年に輸入し、和訳付きで販売したものである。日本語訳ルールはホビージャパンのインペリウム日本版の初期ロットと同じであった。CGC版との違いは、マップが裏打ちされていないことと、箱の大きさである。ルールとカウンターは同じものである。この版は8423箱出版された[2]。


Fig. 4 Game components of GDW reprint of "Imperium"
This had been imported by Hobby Japan.

 "The Classic Games"によれば、"Imperium revised edition" (red box)は1986年に出版され、同じカバーアートで5カ国語版が同時期に出版されている[2]。Revised edition (red box)は、Imperium 2nd Editionのことで、その存在を私が知り、直に2個輸入したのは1990年である。また、国際通信社がインペリウム第2版の日本版を発売した当時のコピーでも「インペリウム第2版(1990年)」となっている。GDWの"Game Catalog 1989"にImperiumは載ってないが、"Game Catalog 1990"には載っている (The Classic GamesではDark Nebulaもcolor cover boxの情報が抜けていたので、Imperiumの発行年もtypoかもしれない。昔、The Classic Gamesの抜けページ情報をMarcにメールを送ると返信に数ページ分のgifが添付されていたこともあった)。

 Fig. 5は輸入したカラーイラストの平箱(11 x 9 x 1 inch)版"Imperium" revised edition (red box)である。マップが再び裏打ちされ、パズル的な組み立てマップになり、カバーアートがKelly Freas のイラストに変更された。マップの脇にあった記録トラックが別の紙に印刷され、マップが少し小さくなった。また"History of Imperium"という読み物が同封された。また初版では70個を超える星系が〜となっていた部分が、第2版では10000個を超えるとなっていたりした。細かい変更は、Sci-Fi RPG「トラベラー」世界との連結を意識しての変更であった。この版は5120箱出版された[2]。


Fig. 5 Game components of GDW revised edition of "Imperium"
In this version, new cover art is illustrated by Kelly Freas. The maps are printed on card boards.

 CGC / GDW版のImperiumにあって、ホビージャパン/国際通信社版のインペリウム日本版に無いユニットがあるのを知っていますか?

 答えは、Fig. 6の黒いシルエットのある帝国戦闘機ユニットである。CGC / GDW版には1個ついている。Marcによると1977年に見た映画Star Wars (Episode4)に感動し、ダースベーダーの戦闘機を追加したとのこと[2]。インペリウム日本語版には、おまけユニットや、追加表示マーカが付いていたことを知っている人は多いと思う。CGC / GDW版ImperiumでのMarc Millerらの粋な計らいである。もっとも日本国内で印刷されたインペリウムでは、ミスプリと考えられてか、白抜きに直されてしまっている。帝国のビーム型モニター艦はミスプリの疑いがあったが、今までは標準仕様になっている[3]。


Fig. 6 The Darth Vader's fighter counter
This counter is included in US edition only. Marc wrote that he saw one of the first showings of Star Wars in Chicago and added the counter just prior to publication.

 Fig. 7は、私が購入した3個目のホビージャパンの「インペリウム」日本版である。加藤直之の箱絵が美しい。この箱絵とゲームのキャッチコピー「君が書き上げる、未完の銀河帝国辺境史」に引かれて、このゲームを買い、気がつくと合計18個も購入していた。マップは裏打ちされ、日本になじみのある人形劇/アニメ/特撮TVをもじった、おまけユニットが付いていた。


Fig. 7 Game components of japanese edition of "Imperium" by HobbyJAPAN Co., Ltd.
In this version, the map is printed on the hard board and extra units with roots in japanese animation has been added.

 2001年に国際通信社が「インペリウムセカンドエディション」を発売したときも、思わず2個購入した。Fig. 8はコレクション用とした1個である。国際通信社版は、ソフトマップで、ユニットの裏面に整備不良面が印刷されていること、状態表示マーカーが多数付いていることに特徴がある。もっとも前哨基地マーカーが追加可能、攻勢命令用帝国ユニットが追加されたりして、ユニット数が規定数より多い。この点は、国際通信社は日本独自版として説明しており、Marc Millerの"Rules Clarifications and Addenda for Imperium"[1]にある、「プレーヤーが事前に増やすことに同意していない限り、規定ユニット数に制限される」には反していない。


Fig. 8 Game components of japanese edition of "Imperium revised edition" by Kokusai-tsushin Co., Ltd.
The counter sheets of this version are duplex printing.

 Fig. 9は、2019年に国際通信社(K2)が「インペリウムセカンドエディション」を再版したものである。このバージョンは、マップが裏打ちされていること、ユニットの裏面に整備不良面が印刷されていること、状態表示マーカーが多数付いていることに、チャートやルールブックがカラー印刷されている。ルールは2001年版に準じているが、ルール解釈に少し修正があったようである。初版発売が1977年6月のImperiumが、42年3か月後の2019年9月に発売されていることは、インペリウムのファンとして、非常に嬉しいことである。この版は中国語版も出版された。Imperiumは古い版も含めると、私の知る限りで8ヶ国語(英日仏独伊葡瑞中)版が存在する。


Fig. 9 Game components of the 2019 revised edition "Imperium second edition" by Kokusai-tsushin Co., Ltd.
The map of this version is printed on the hard board. The counter sheets are duplex printing.

 Fig. 10はStratelibri社が2000箱出版した"Imperium"のイタリア語版である[2]。箱が32.5 x 23.0 x 6.0 cmと大きく厚くなり、チャート、ルールブックと帝国史の冊子はイタリア語化されている。しかし,マップやカウンターシートはGDWのImperium revised editionと同じである。


Fig. 10 Game components of italian edition of revised "Imperium" by Stratelibri s.r.l.
Maps and counter sheets are same as the GDW's Imperium revised edition.

最後に[2, 4]

 Imperiumは当初、"Star Fleet"という名前で開発されていた。また連作として"Twilight"というゲームもディベロップされていた。TwilightはStar Fleetのマップの4倍の広さがあったようで、帝国は干渉表だけでなく、帝国による本格的な軍事介入も視野に検討していたのかも知れない。しかしディベロップ段階でTwilightの開発は中止され、他社からStar Fleetという名のゲーム出版されたため、ゲームの名称は"Imperium"に変更されて出版された。Fig. 11は、開発中のStar Fleet、Twilightのマップの写真である(文献[2]のカラーページを撮影)。


Fig. 11 Draft maps still carries the original Star Fleet title[2]
The maps of Twilight sequel to Imperium connected to the Imperium map.

Sci-Fi RPG "TRAVELLER"の星図からTwilightのマップの一部を作った同人誌[5]や、私自身がTwilightのマップを再現して適当プレイ(移動力∞はスケール的に無理なので)した結果を見ると、4年間の長いデザイン&ディベロップ期間の取捨選択が、Imperiumを名作に仕上げたのだいうことが良く分かった。

 Avalanche PressのM. Bennighofも、"Imperium is one of the handful of legendary board wargames, equaled only by Third Reich and perhaps two or three others."[6]と評しているだけに、"Board Game Geek"での評価が6.9と、7.0を越えてないのは意外である。B級SFゲーム分科会 の評価も参考になる。

References

[1] Marc W. Miller: The Dragon #20, pp. 4, pp. 28, pp. 31, Vol. III (No. 6) (1978).
[2] Marc W. Miller: The Classic Games, pp. 9 (Far Future Enterprises, 2001).
[3] P. Kosnett: The Grenadier #1, pp. 9(No. 2) (1978).
[4] Marc W. Miller: The Dragon #20, pp. 3, Vol. III (No. 6) (1978).
[5] C. Kusakawa: Steller Strategy & Society, pp. 30 (Soc. SLG, Unv. Ritumeikan, 1988).
[6] M. Bennighof: "'Imperium': A Tale of Obsession", (2006)


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