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2. Battle for Moscow 2

[ カテゴリ:TUBG Libraries ]


Battle of Moscow 2nd edition [VPG]

[Web-based version of Battle for Moscow] [VASSAL Module] [BGG B4M]
Battle of Moscow [C3i]

2009年にVictory Point Games社がC3i誌25号の付録としてBattle for Moscowの改訂第2版 (B4M)を発行した。Web-based B4Mは、この改訂第2版をベースとしている。ここでは、改訂第2版とWeb-base版を紹介するため、Victory Point Games社のBattle for Moscowのルールを元に、Kazuhiro Uedaが日本語訳を作成した。
モスクワ攻防戦 [K2]は1986年夏にGDWが発行した初版 (bfm)をベースとしている。ルールはコマンドマガジン第39号(2001), pp. 40 を参照のこと。

[1.0] 導入

タイフーン作戦は、1941年末にドイツ軍がモスクワ攻略のために行った最後の突撃作戦のコードネームであり、"Battle for Moscow (モスクワの戦い)"の主題である。この攻撃は、ロシア軍を崩壊させ、ドイツの征服に対する抵抗を終わらせることを目的としていた。タイフーン作戦の成功は、ロシア軍士気の崩壊を意味する(とドイツ軍は考えていた)。 失敗すれば、疲弊したドイツ軍は ロシア軍の反攻にさらされ、モスクワに到達できないまま永遠に追いやられることになる(実際にそうなった)。
"Battle for Moscow"は、戦場となった旧ソビエト連邦の地図上でプレイする。
このキャンペーンに参加した実際の軍隊を現したゲームカウンターを使用する。
各プレーヤーは、ドイツ軍であれば軍集団、ロシア軍であれば戦線を指揮する将官を表す。
ドイツ軍の個々の地上部隊は、1941年夏にロシア西部を縦断した約2万5千人の兵士とその装備の残骸からなる軍団(ラテン語で身体を意味する"corpus"に由来)を表す。
ロシアの地上部隊は、それぞれ約4万人の軍である。

[2.0] 一般的なプレーの流れ

"Battle for Moscow"は、2人用のゲームである。
一人のプレーヤーが枢軸国(ドイツ)を、もう一人のプレーヤーがロシア(ソビエト連邦)を担当する。
各プレーヤーは順番にゲームカウンターを移動させ、敵のゲームカウンターを攻撃し、ゲームの勝利条件の達成を目指す。
ゲームカウンターがある地域(ヘクスと呼ばれる)から別の地域へ移動するには、移動力を消費する。
戦闘は、自分のゲームカウンターの戦力ポイントの合計と隣接する相手のゲームカウンターの戦力ポイントを比較し、簡易的な戦闘比で表し、戦闘で解決する。
ダイスを1つ振り、戦闘結果表(Combat Results Table: CRT)に示された結果を関係するゲームカウンターに適用する。

[3.0] ゲームの備品

内容物

戦闘解決に必要な6面ダイス1個は付属していない。

[3.1] ゲームマップ

1941年末にドイツ軍が首都モスクワを占領するために運命的な突進をしたモスクワの西部と南部地域を描いたマップである。
マップ上地形には六角形のグリッドが重ねられている。
この六角形の地域(略してヘクス)が、ちょうどチェス盤のマスのようにカウンターの位置を決定する。また、森林、都市、要塞、河川、鉄道などの重要な地形も描かれている。
地形の特徴については「地形効果表(Terrain Effects Chart: TEC)」に説明がある。

[3.2] ゲーム・チャートとテーブル

ゲーム機能を簡略化し説明するために、プレーヤーには様々なゲーム補助が提供される。
これらは戦闘結果表(CRT)、地形効果表(TEC)、及びターン記録トラックである。
これらの説明はルールの各章に記載されている。

[3.3] ゲームカウンター

ゲームカウンターはこのキャンペーンで実際の戦闘に参加した部隊を表している。
ゲームカウンター上の数字や記号はそのゲームカウンターでシミュレートしている部隊の戦力や種類を表している。
以後、ゲームカウンターをユニットと呼ぶ。


部隊ユニット例
ドイツ軍プレーヤーはドイツ軍(フィールドグレー)のユニットを指揮する。
ロシア軍プレーヤーは他の(赤)ユニットを指揮する。

歩兵(Infantry):主に歩兵師団で構成される。
打撃(Shock Infantry):歩兵師団と大量の砲兵予備軍
機甲(Panzer or Tank):主に装甲師団/戦車師団で構成される
部隊規模記号
軍団:XXX
軍:XXXX
ユニット・タイプは、歩兵部隊(徒歩歩兵)か機甲部隊(ドイツ軍は装甲、ロシア軍は戦車)のどちらかです。
戦闘力は、戦闘におけるユニットの価値を戦力ポイントで表したもので、数値が高いほど強い。
移動力は、ユニットが移動できる距離を移動ポイント数で示すものである。
ユニットのサイズとID(識別情報)は、純粋に歴史的な興味から記載されており、ゲームのプレイに与える影響はない。
すべてのユニットは2つの面を持ってい る。
完全戦力面(表)と、その完全戦力面の半分の戦力(切り捨て)の減少戦力面(裏)である。
戦闘で損失が生じた場合、完全戦力のユニットを減少戦力のユニットに変更することができる。
補充は減少戦力面のユニットを完全戦力面のユニットに戻すことができる。
プレーヤーが用意しなければならない6面ダイスは、戦闘結果表とともに攻撃の結果を決定するためだけに使用される。
このダイスはユニットの移動には影響しない。

[4.0] シーケンス

ゲームの長さ:"Battle for Moscow"のゲームの長さは、7ゲームターンである。
タイム・スケール:各ゲームターンは、天候によるが、実時間で約1週間から2週間を表す。
例えば、第3ターンと第4ターンは、泥濘の影響で移動・戦闘が遅くなるため、それぞれ約2週間を表す。
ターンの仕組み:各ターンは9つのパート(フェイズ)に分かれており、以下の順番で実行される。あるフェイズにおけるすべてのアクションが終了しなければ、次のフェイズを開始することはできない。
最初の4フェイズがドイツ軍プレーヤーのターン、次の4フェイズがロシア軍プレーヤーのターンとなる。
手順
ドイツ軍プレーヤーターン
1. ドイツ軍補充フェイズ:ドイツ軍は補充を受け取る。
2. ドイツ軍(特別)装甲移動フェイズ:すべてのドイツ軍装甲/戦車ユニットは移動できる。
3. ドイツ軍戦闘フェイズ。すべてのドイツ軍ユニットは攻撃することができる。
4. ドイツ軍移動フェイズ。すべてのドイツ軍ユニットは移動できる(第2フェイズで移動した装甲/戦車ユニットを含む)。

ロシア軍プレーヤーターン
5. ロシア軍補充フェイズ:ロシア軍は補充を受け取る。
6. ロシア軍(特別)鉄道移動フェイズ:線路上でこのフェイズを開始したすべてのロシア軍ユニットはその線路に沿って移動することができる。
7. ロシア軍戦闘フェイズ:すべてのロシア軍ユニットは攻撃することができる。
8. ロシア軍移動フェイズ:すべてのロシア軍ユニットは移動できる(第6フェイズにおいて鉄道で移動したユニットを含む)。

管理ターン
9. 管理フェイズ:ゲームターン・マーカーを進める、又は最終ターンがプレイされた場合、ゲームを終了して勝敗を決定する。

[5.0] 勝利条件

ドイツ軍は第7ゲームターン終了時にMoscowを支配していれば勝利となる。
ロシア軍はMoscowと他の1つの都市を支配していれば勝利となる。
それ以外の結果(すなわち、ドイツ軍がMoscow以外のすべての都市を支配している場合)は引き分けとなる 。
ヘクス(例: Moscow)の支配はルー ル10.0で定義されている。

[6.0] ゲームのセットアップ手順

手順
1. ゲームターン・マーカーを ゲームターン記録トラックの1のマスに配置し、4のマスにロシア第1 打撃軍を(増援として到着した場合は、ルール11.0を参照)配置する。
2. 残りの16個のロシア軍を受け取り、裏返して減少戦力面を表にする。
これら戦力が低下したロシア軍ユニットを、赤い星印が付いている各ヘクスに 1 ユニットずつ配置する。
ロシア軍ユニットはすべて同じ戦力なので、どのユニットをどこに配置するかは重要ではない。
残りのロシア軍ユニットは2ユニットになるはずである。
3. 次にドイツ軍プレーヤーは黒十字が付いている各ヘクスに完全戦力のドイツ軍ユニットを1 ユニット配置する。
このセットアップは第1ゲームターンにおけるドイツ軍の戦闘を決めるため、非常に重要である。
4. ドイツ軍プレーヤーは最初のゲームター ンを戦闘フェイズ*から開始する。
その後、最後のゲームターンが終了するまで、(ルール4.0に書かれている)ゲームの進行順序に従ってプレイする。
*ドイツ軍ユニットはすべて完全兵力で開始され、物理的にその位置に配置されるため、第1ゲームターンにおいて、補充も特別移動も行われない。

[7.0] 支配地域

基本ルール

各ユニットはその周囲6ヘクスに、敵軍ユニットが存在しているヘクスを含めて支配地域(Zone Of Contral: ZOC)を有している。
敵軍の支配地域は移動、戦闘、および補充に重要な影響を及ぼす。

[7.1] 移動への影響

敵支配地域(Enemy ZOC: EZOC)に進入したユニットはその移動フェイズにおける移動を直ちに終了しなければならない(ケース8.3参照)。
ユニットはEZOCから自由に退出することができ、EZOC内の1つのヘクスからEZOC内の別のヘクスに直接移動することができるが、その後で停止しなければならない。

[7.2] 戦闘への影響

ユニットは退却をEZOC内で終了することはできず、終了した場合は除去される(ケース9.3参照)。

[7.3] 補充への影響

支配地域は、補充を可能にするための連絡線のトレース方法にも影響を与える(ケース10.3参照)

[8.0] 移動

基本ルール

ユニットは各ゲームターンの移動フェイズ(つまり第2、4、6、8フェイズ)に移動できる。移動は基本的に各フェイズで同じように処理する。
各ユニットは天候と地形の効果を受けながら、移動資格のある各移動フェイズに移動できる距離をヘクス単位で示した移動力を有している(天候と地形の効果の表はプレーヤー補助シートを参照すること)。
プレーヤーは、移動フェイズにおいて移動資格のある自軍ユニッ トを任意またはすべて移動させる(すなわち、装甲移動フェイズにお いては装甲部隊のみ、鉄道移動フェイ ズにおいては鉄道上のロシア軍ユニットのみを移動させる)。
ユニットは一度に1ユニットずつ、ヘクスからヘクスに、任意の方向またはその組み合わせで移動する。

[8.1] ロシア軍の鉄道移動

鉄道移動フェイズにおいて、鉄道路線上でそのフェイズを開始したロシア軍ユニットは移動力を消費し、この ルールの他の部分に従って移動することができるが、次の例外がある。
鉄道移動するユニットは線路が繋がっているヘクスにのみ移動することができ、泥濘期も含めて1ヘクスにつき1移動ポイントを必要とする(例えば、ロシア軍の鉄道移動においては森林ヘクスは移動のための1ヘクスとしてのみ数えられる)。

[8.2] 制限事項

以下の制限事項がある。
[8.2.1] 敵軍ユニット:ユニットは敵軍ユニットが存在するヘクスには決して進入できない。
[8.2.2] スタッキング:ユニットは友軍ユニットが存在するヘクスに進入することができるが、各フェイズの終了時にそのヘクスに存在できるのは1ユニットのみである。

[8.3] 支配地域

敵軍支配地域に進入したユニットはその移動フェイズにおける その移動を直ちに終了しなければならない。
敵軍支配地域を離れることに何のペナルティも効果もない。


移動の例:これはドイツ第6軍団の様々な動きです。
図中の数字は そのヘクスに進入するまでに、移動力(各ユニット下側の2 番目の数字)4からいくつ消費したかを示している。
ドイツ第6軍団はAまたはBヘクスに移動することができるが、ロシア第10軍の支配地域に入ったため、直ちに停止しな ければならない(ケース 8.3)。
ドイツ第6軍団はCヘクスに移動すること ができ、その移動フェイズ における移動力をすべて使用したため停止することになる(そして、敵軍支配地域に入ったため停止しなければならない)。
DまたはEヘクスに移動する際、ドイツ第6軍団はそのターンの移動力をすべて消費し た。尚、ヘクスDは森林ヘクスなので、進入に2移動ポイン トを必要とする(プレーヤー補助シートの地形効果表(TEC)を参照)。
また、他のウォーゲームのように河川ヘクスサイドを渡るために追加の移動力ポイントを必要としないことに注意すること。
"Battle for Moscow"では、河川ヘクスサイドは戦闘にのみ影響し、 移動には影響しない。

Web-base版は、ユニットは、味方ユニットがいるヘクスで移動を終了できない。つまり、ヘクスAのユニットaとヘクスBのユニットbを直接入れ替えてヘクスAにユニットb、ヘクスBにユニットaとすることはできない。

[9.0] 戦闘

基本ルール

各戦闘フェイズ(第3フェイズと第7フェイズ)において、すべての友軍ユニットは隣接する敵軍ユニットを攻撃することができる 。
攻撃は完全に任意であり、ユニットが攻撃を強制されることはない。
戦闘とは、その戦闘ヘクスに隣接している攻撃側プレーヤーのユニットの一部または全部が敵軍1 ユニットに対して攻撃をおこない、その結果を決定するためにダイスを振ることである。
手順
まず、攻撃側プレーヤー(すなわち、ドイツ軍戦闘フェイズはドイツ軍プレーヤー、 ロシア軍戦闘フェイズはロシア軍プレーヤー)はすべての戦闘を明示する、つまり最初に、どの自軍ユニットが、どの敵軍ユニットを攻撃するか明示する。

戦闘シーケンス(順序)
戦闘は攻撃側のプレーヤーが望む順番で1回ずつ解決される。
各戦闘は以下の順序で解決される。
1. その戦闘に参加しているすべての攻撃ユニットの戦力を合計する。
2. この合計を防御側ユニットの戦力で割り、余分(または端数)を減らせば、戦闘結果表の比率(戦闘比)が算出される。
例:攻撃側の戦力合計が16で、防御側の戦力が4のユニットと戦闘をする場合、 その確率は 4:1 となる。ただし、戦力合計15が戦力4を攻撃する場合は3:1となる。
3. 地形の戦闘効果があるかどうかを確認する。地形の効果は戦闘比を下げる。
4. ダイスを振り、戦闘結果表(CRT)を参照し 、出た目の列と戦闘比の列を交差させて結果を決定する 。
5. 戦闘結果をすぐに適用する。
6. 戦闘後前進:防御側ユニットがそのヘクスにいない場合(例:除去されたか退却させられた場合)、攻撃側の1ユニットはそのヘクスに前進する。
攻撃側ユニットは直ちに防御側ユニットのいた、ちょうど空いたヘクスに移動することができる。
7. 次に保留されている戦闘がある場合、それを解決する。戦闘フェイズは、先に明示された戦闘がすべて解決された時点で終了する。

[9.1] 大戦闘比

上記の順序2の後 、戦闘比が6:1以上であれば、6:1まで下げる。
上記の順序3の後、戦闘が1:1以下であれば、その攻撃はどちらにも影響を与えない。

[9.2] 戦闘における地形効果

地形効果表(TEC)に示されているように、防御側ユニットが森林、 主要都市(例:MoscowやTula)、またはロシア軍ユニットが要塞ヘクスにいる場合、戦闘比を左に1 段階ずらす(コラムシフトする)。(例:4:1 の 攻 撃は3:1、3:1は2:1、...といった具合に)
その戦闘において、すべての攻撃側ユニットが防御側ユニットと河川を隔てて隣接している場合、戦闘比を 左1コラムシフトする。
これらの地形効果はすべて累積される。


例としてドイツ軍は上図のようにモスクワを攻撃している。
順序1でドイツ軍の攻撃力の合計は16と計算される。
順序2で、この値を防御力5で割って、16÷5で3:1の戦闘比とする。
順序3において、地形効果がチェッ クされ、戦闘比は左2コラムシフトする。
防御側がモスクワにいるため左1コラムシフトし、攻撃側ユニットがすべて河川ヘクスサイドを越えているため更に左1コラムシフトし、合わせて左2コラムシフトである。
従って、この戦闘の新しい(減少した)戦闘比は1:1である。
例2:ドイツ軍が Tula にいるロシア軍ユニットを攻撃する場合、 主要都市と要塞ヘクスで合わせて左2コラムシフトがある。

[9.3] 戦闘結果の説明

戦闘結果表(CRT)にある次の結果は、戦闘の順序4において発生する可能性がある。
NE(No Effect):何も起きない。
DR(Defender Retreat):防御側ユニットは攻撃側プレーヤーによって次のように2ヘクス退却(すなわち、移動)させられる。

何れも不可:これらの条件をすべて満たす退却経路が存在しない場合、ユニットは除去される。
退却なし:主要都市ヘクスで防御しているとき(のみ)、防御側プレーヤーは DRの結果を1ステップの損失と退却なしに変換することができる。
DRL(Defender Retreat and Loss):防御側ユニットがまず1ステップロスし、生き残った場合、(上記の)DR の結果に書かれているように退却しなければならない。

DE (Defender Eliminated):防御側ユニットが完全戦力、減少戦力かに関係なく完全に除去される。
EX(EXchange):まず、防御側ユニットがDRL の説明と同じように1ステップロスする。
その後、攻撃側プレーヤーはその戦闘に参加した攻撃側ユニットの中から少なくとも同じ数の戦力を失わなければならない。

例:完全戦力9のドイツ軍装甲部隊は損失を被り、戦力4の減少戦力面に裏返される。 この損失は戦力5として計算される。
最後に、防御しているユニットが生き残った場合、DR の結果に従って退却しなければならない。

AL(Attaker Loss):攻撃側の1ユニット(攻撃側の選択)が、1ステップロスする。
しかし、攻撃側ユニットは退却しない。
"Battle for Moscow"において、攻撃したユニットが退却することはない。


戦闘の例:ここでは、ロシア軍ユニットに対する2種類のドイツ軍の攻撃を見ることができる。Fig. 1 の戦闘比は15:4、つまり3:1で始まる。
河川のために左1回、防御側ユニットの要塞のためにもう1回左シフトし、最終的な戦闘比は1:1である
Fig. 2の攻撃は、2戦力のドイツ第42歩兵軍団を加えた点を除けばFig. 1と同じだが、これには大きな違いがある!
戦闘比は17:4、つまり4:1になる。
この戦闘比は要塞のために、まだ 左に1 回シフトしているが、河川による左シフトはない(すべての攻撃側ユニットが河川ヘクスサイドを越えていないため)ため、最終戦闘比は3:1となる。
さらに、減少戦力面のロシア軍ユニットは敵軍ユニットとそのZOCに囲まれているため、退却を強いられると除去される。

[10.0] 補充

基本ルール

両プレーヤーは、それぞれのプレーヤーターン(つまり、第1フェイズと第5フェイズ)に補充を受け取る。
各ターンに受け取る補充のステップ数は"ゲームターン記録トラック"に記載されている。
各プレーヤーは、その補充ステップで、
1. 新しい減少戦力ユニットを再建してマップに配置する(以前に除去されたユニット、ゲーム開始時にマップに配置されなかったロシア軍ユニットを使用する)。
または、
2. 現在マップ上にいる減少戦力ユニットを完全戦力面に裏返す。
"友軍支配下"の定義:友軍支配下とは、その都市に進入した最後のユニットが自軍ユニットであること意味する。
ゲーム開始時には、ドイツ軍ユニットが占領している都市を除き、すべての都市がロシア軍支配下である。
"連絡可能"の定義:連絡可能とは、ロシア軍にとって、対象ヘクスからマップの北東、東、または南東(赤の境界)までの経路(長さは問わない)を辿ることができることを意味する。
起点となるヘクスを除いて、この経路は敵軍ユニットが存在するヘクス、または敵軍支配地域に進入することはできない。
他のウォーゲームと異なり、友軍ユニットはいかなる理由であれ敵軍支配地域の効果を無効化できないことに留意すること。

[10.1] 1ターンに1ステップ

同じプレーヤーターン中に補充2ステップを使って、新しい完全戦力のユニットを作成することはできない。
マップ外にあるユニットから新たに完全戦力のユニットを作成するには、2ターンの補充が必要である(合計2回の補充フェイズ、それぞれのターンで1ステップずつ受け取る)。

[10.2] ロシア軍部隊の配置場所

新しく配置されるロシア軍ユニット(マップ外から持ち込まれるユニット)は、マップの北東、東、南東 の端、赤の境界線に沿って、敵軍 ZOC ではない任意の空きヘクス、 または赤の境界線で囲まれた北東、東、南東の端と連絡している任意の友軍支配下の空き都市(最大で都市ごとに1ユニット。スタックは不可)に配置されることで現れる。

[10.3] ドイツ軍の補充場所

ドイツ軍の補充と連絡は、マップの西側(黒枠)の端を使用して辿ることと、モスクワに特別なルールがないことを除いては、ロシア軍と同じように機能する。

[10.4] 使うか捨てるか

補充ステップを使わなかったとしても、それは後のター ンのために取っておくことはできず、完全に失われる。

[11.0] 増援

基本ルール

ロシア軍のみ増援ユニットを受け取る。
増援ユニットはセットアップ(ルール6.0)に示されたようにゲームターン記録トラックに配置される。

増援の配置

このユニットは北東、東、南東(赤枠)のマップ端にある、他のユニットが存在せず、敵軍ZOCでもないヘクスに完全戦力状態で配置される。

[12.0] 泥濘

基本ルール

第3ターンと第4ターンは"泥濘"ターンである(他のターンは"晴天"で効果はない)。
泥濘ターンでは、以下の特別な泥濘ルールが適用される。

[12.1] 移動に対する泥濘の影響

ロシア軍の鉄道移動を除くすべての移動は1フェイズにつき1 ヘクスに減少する。

[12.2] 戦闘への泥濘効果

装甲及び戦車ユニットの戦力は合計され、攻撃時には半分になる(防御時ではない)。
半分にする場合、端数は残す(例:9の半分が4.5)。
歩兵ユニットの戦力は影響を受けない。
例:先のFig. 2を例として、もし泥濘ターンの場合、ドイツ軍3ユニットの合計戦闘力は12.5 に減少する(すなわち、装甲ユニットからら4.5戦力を失う)。
この場合、地形効果を調整する前に3:1の戦闘比となる。
泥濘ターンにEXの結果が生じた場合 、攻撃側の損失は泥濘効果で半減された値ではなく、印刷された戦力に基づくことに注意すること。

[13.0] ゲームバランス

経験の浅いプレーヤーにハンディキャップが必要な場合は、以下のように変更する。

[14.0] Battle for Moscow ゲームクレジット

"Battle for Moscow"の原版は、1986年にFrank Chadwickがゲームの基本的なアイデアを提案し、情報を調査し、ゲーム・ルールを起草したものである。
このゲームの開発は、John HarshmanとJohn Astellが担当し、テストと洗練、編集を経て、最終的なルールが完成した。
プレイテストは、Game Designers' WorkshopとDiverse Talents, Incorporatedのスタッフが行い、ゲームをプレイして欠点や問題点を指摘し、修正した。
Barbie Prattは、オリジナル版のアート・ディレクターとして、ゲームの構成要素を最終的な製品にまとめた。
改訂版(第2版)Victory Point Games版は、1986年当時、Diverse Talents, Incorporatedの社長でもあり、このゲームとの長い歴史を持つAlan Emrichによって2009年に作成された。
VPG版の新しいグラフィックとルールの校正はAlanが行い、さらにLance McMillanがディベロップし、Bill Barrett、Richard Carley、Terence Co、Vince DeNardo、Stefan Anton Federselとthe Bavarian Raiders、Don Johnson、John Leggat、Jon Matthews、Kim MeintsとGary Sonnenbergによりプレイテストと校閲がなされた。
C3i Magazine Editionのクレジット:
地図とカウンターアート:Mark Simonitch
ルールブックレイアウト:Rodger B. MacGowan
校正:Mark Kaczmarek、Steve Carey
(c) 1986 Frank Chadwick and 2009 Victory Point Games
日本語翻訳:Kazuhiro Ueda


Tournament Rules [VPG]

"Battle for Moscow"のトーナメント・ルールに関しては、ゲーム業界に長い歴史がある。
1986年の夏に初版が発行され、当時は多くのゲーマーがこのゲームを手に入れた。
当然、このゲームを多くの人が所有し、プレイしていたため、その覚えやすさと小ささ、そしてプレイ時間の短さから、ゲーム大会にもたびたび登場するようになった。
今回、Victory Point Gamesは、"Battle for Moscow"の対戦プレイ用のトーナメント・ルールを提供する。どうぞお楽しみください。

[5.0] 勝利条件

都市支配と連絡可能なヘクスの定義については、必ずルール10.0を再読すること。

[6.0] ゲームのセットアップ

トーナメント・ゲームのセットアップは、以下のように少し変更される。
ドイツ軍プレーヤーが駒を配置した後(手順4)、ロシア軍プレーヤーは ヘクス0503、ヘクス0608、ヘクス0803 (Mozhaisk)にある3個の予備軍(すなわち、ドイツ軍ZOCにいない軍)を一部または全部、 再配置することができる。
これら予備軍の再配置とは、ロシア軍隊の"前線"(すなわち、マップ上に既に配置されているロシア軍ユニット) の東側で、ドイツ軍ZOCではない1ヘクス1ユニットずつ配置することである。
その後ゲームは通常通り、第1ゲームターンのドイツ軍戦闘フェイズ から開始される。

ゲームクレジット

Tournament Rules
デザインとルール:Alan Emrich
ディベロップ:Lance McMillan
プレイテスト:Stefan Anton Federselとthe Bavarian Raiders、Jon Matthews、Kim Meints、Gary Sonnenberg
日本語翻訳:Kazuhiro Ueda


Appendix

カウンターリスト


Web-based B4Mのドイツ第5歩兵軍団は 6-4/3-4 (第1版と同じ)。

地形効果表(Terrain Effects Chart: TEC)

地形名移動への影響戦闘への影響備考
平地影響なし影響なしなし
森林移動時に2ヘクス分と数える
鉄道移動では1ヘクスと数える
戦闘力比左1コラムシフトなし
都市影響なし影響なし補充により再建したユニットの配置可
大都市 影響なし戦闘力比左1コラムシフト
DRを防御側1ステップロスに変更可
補充により再建したユニットの配置可
(ロシア軍はモスクワが連絡不可能でもモスクワに配置可)
要塞影響なしロシア軍防御時に限り戦闘力比左1コラムシフトなし
河川 影響なし全攻撃側ユニットが河川の対岸にいる場合に限り戦闘力比左1コラムシフトなし
鉄道ロシア軍ユニットは鉄道移動フェイズ時に鉄道沿いに移動可影響なし 影響なし

+
影響なし影響なしロシア軍とドイツ軍の
セットアップ・ヘクス

戦闘結果表(Combat Results Table: CRT)

1d6\戦力比1:12:13:14:15:16:1
1DRDRDRDRDRDRL
2EXDRDRDRDRLDRL
3EXEXDREXDRLDE
4NEEXEXDRLDRLDE
5NENEEXDRLDEDE
6ALNEDRLDEDEDE

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