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1980 Azhanti High Lightning

Azhanti High Lightning [GDW]

"Azhanti High Lightning" was designed by Frank A. Chadwick and Marc W. Miller. The game was published by Game Designers' Workshop (GDW) in 1980, and it was won a Charles Roberts Award in 1980. The Japan edition isuued in 1988 by HobbyJAPAN CO., Ltd. The game is simulated the close-action combat between individuals on board a large military spaceship in the universe of the Sci-Fi RPG "TRAVELLER".

 "Azhanti High Lightning"は、Sci-Fi RPG "TRAVELLER"世界のソロマニ戦争(The Soromani War)で活躍した巡洋艦内での個人戦闘を扱ったシミュレーションであり、1980年のチャールズ・ロバート賞(Charles Roberts Award)Sci-Fi部門賞を受賞している。このシミュレーションのポイントは、ライトニング級巡洋艦の船内を表す14枚の船内図、Sci-Fi RPGトラベラーのサプリメント「ライトニング級巡洋艦」と戦闘ルールである。戦闘ルールはトラベラーの個人戦闘ルールの上級ルール(詳細化ルール)として扱われている。1スクエアのサイズはトラベラーのデッキ・プランの標準である1.5m角であり、1ターンはトラベラーと同じ15秒である。しかし、Azhanti High Lightningでは、1ターンを5分割し、各フェイズ中に6アクションポイントをもって行動するように細分化されている。戦闘シナリオも10本あり、大型宇宙艦内での戦闘を楽しめるようになっている。

 私自身は、このゲームを入手したとき、Marc Millerの閃きに唖然としたことを覚えている。私の古い固い頭の中では、水上艦や宇宙戦艦ヤ*ト、ガゼル級小型護衛艦(トラベラーの400トン小型護衛艦)のように短辺方向に重力がある船内構造をイメージしていた。ライトニング級巡洋艦のデッキプランは高層建築のような長辺方向が高さ方向(重力向方)となっていて、自分が重力井戸内の既成概念に囚われたことを思い知らされた。ライトニング級巡洋艦は84層の高層建築物であり,Snapshotの小型艦船(1〜2層)と大きく異なった環境での個人戦闘は非常に面白く、プレイアビリティの低さも忘れて、数人の友達と徹夜で遊んだ。

 Fig. 1は私の所持している、"Azhanti High Lightning"である。ボックスはRichard Floryがライトニング級巡洋艦を描いたイラストである。GDWの平箱(11 x 14 x 1 inch)に2つ折りされた14枚のライトニング級巡洋艦デッキプランと、ルールブック、サプリメント5が入っている。


Fig. 1 Game components of "Azhanti High Lightning"
The cover art is drawn by Richard Flory.

 Fig. 2は1988年にホビージャパンがライセンス生産した「アザンティ・ハイ・ライトニング」日本版である。ボックスサイズがGDW版と異なっているため、デッキプランが4折りになっていること、戦闘チャートが2枚あること等が異なっている。加藤直之が描いたライトニング級巡洋艦の緻密な箱絵に目を引かれる。


Fig. 2 Game components of "Azhanti High Lightning" of japanese edition
The box art is illustrated by Naoyuki Katoh.

 アザンティ・ハイ・ライトニングの戦闘ルールは、1フェイズが3秒となり、1アクション・ポイント0.5秒と、詳細な戦闘行動が処理できる。しかし、処理に必要な時間が増加し、トラベラーの戦闘ルールとして使用した場合、シミュレーション上の時間と実際のプレイ時間との差が大きく広がり、問題に感じた。これは戦術/戦闘級のボード・シミュレーションの根本的問題であり、このシミュレーションの質とは別の問題である。B級SFゲーム分科会 の評価は傑作としているが、"Azhanti High Lightning"がチャールズ・ロバート賞を受賞した理由は「ボードゲームとしての優秀さより、Sci-Fi RPG 『トラベラー』の世界を感じさせるシミュレーションとして評価された」と述べている。

 "Board Game Geek"での評価は6.4。古いSci-Fiゲームの評価が低いBoard Game Geekの評価としては良い方である。この評価はAzhanti High Lightningが戦術ボードゲームとしても十分楽しめることを示している。


1. GDW Sci-Fi Games
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