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1979 Bloodtree Rebellion

Bloodtree Rebellion [GDW]

"Bloodtree Rebellion" was designed by Lynn Willis, and published from Game Designers' Workshop (GDW) in 1979. This game was simulated a guerrilla war against invading force. Moreover, this is a first game that simulated the fight against terrorism. It is too early that this game have been published.

 "Bloodtree Rebellion"は、ホラーRPG「クトゥルフの呼び声 (Call of Cthulhu)」や「アーカム・ホラー (Arkham Horror)」初版のデザイナーとして有名なLynn Willisがデザインした1979年発売のSci-Fiゲームである。Board Game Geek での評価は5.8。古いSci-Fiゲームの評価としては良くも無いが悪くもない。しかし、不人気テーマのゲリラ戦とSci-FiシミュレーションのANDは、1995年でも流通在庫がある位、売れないゲームでした。

 Bloodtree Rebellion は、1982年にホビージャパンが輸入して和訳付きで販売していたシミュレーションの1つだが、1986年に流通在庫を見つけて購入できた位、日本国内でも人気が無かった。私はルールを読み、その背景の斬新さに引かれて、その後も流通在庫を見つける度に購入し、計3個も購入していた。 Fig. 1は1986年に購入した1979年版"Bloodtree Rebellion"である。GDWの平箱(11 x 14 x 1 inch)は初版と再版で駒(ユニット)の厚みが異なる。1mm厚のユニットは、1979年印刷版であり、1.2mm厚のユニットは1983年印刷のreprint版である。カバーアートには、Stephen Fabian のイラストが用いられている。深いジャングルに覆われた美しいマップと市街地マップが別々にあり、市街地マップで市街戦をするように見えるが、市街地マップは政治ゲームで使う。この感じからも当時の戦力シミュレーションとは違っていた。


Fig. 1 GThis was game components of "Bloodtree Rebellion"
This game is simulated the fight against terrorism for the first time.

 Lynn Willisはデザインしたベトナム戦争のシミュレーションをBloodtree Rebellionにデザインしなおしているため、Bloodtree Rebellionがベトナム戦争を原型に、背景をSci-Fiに拡張していることは簡単に想像できる(Bloodtree forests →ジャンル、Tuber Plain →水田、Gunplat →武装ヘリ、Hovercraft →戦車)。また1970年代末から1980年初頭当時のゲームの流行であった政治的要素のゲーム化(完成形の一つがJUNTA[Westend Games]だと思う)を考えれば、政治ゲームの部分も含めてBloodtree Rebellionは1979年当時、最もベトナム戦争ぽいSci-Fiゲリラ戦シミュレーションである[1]。

 200X年時点でこのシミュレーションを眺めると、住民への配慮からの火器の使用制限がある正規軍、市民の信頼を得るために地元有力者から支持を得る工作、地元有力者の逮捕/処刑/誘拐/暗殺/爆破工作等の要素は、米軍が200X年に砂漠の国々で実施していたテロとの戦いと重なって見える。これらの要素は1979年のBloodtree Rebellionに含まれている要素である。正規軍兵員をテロの目標にできないなど、現在のテロ戦争と比較すると若干のずれもある。しかしLynn Willisは、未来の正規軍は市民軍(ゲリラ部隊)より非常に強力になることを予測し、非正規戦争が従来型のゲリラ戦から市街地に多くの住民が残った状態での非対称戦(テロ戦闘)に様変わりすることを想像していた様にも見えてくる。

 K. Grossはカプセル・レビュー[1]の中で「Bloodtree Rebellion はプレイするのではなく、賞賛するゲームである。政治システムは革新的で興味をそそられる」としている。しかし私には、日本語訳ルール、英文ルールや背景説明を読んでもLynn Willisが意図した政治シミュレーションをイメージできなかったため、政治ゲーム部分は非常にプレイし辛かった。私は、K. Grossの賞賛するゲームという評価に賛成だが、非対称戦に重心があればもっと面白いシミュレーションとしてプレイできたのではないかと考えている。

 ゲリラ戦ゲームの勝利条件は正規軍側に厳しいのが普通だが、Bloodtree Rebellionのプレイ回数は数えるほどだが、今は勝利条件がゲリラ側に厳しいと感じている。

 当初、Mykin軍は予備兵士不足から、速やかに第2大隊C中隊の増強を受け、Glythsへの先制攻撃をしていた。Glythsの完全排除に失敗 ≒ Mykinsの敗北であった。増援をうける前にGlythsが増強されると厳しいため、Glyths を刺激するPanic Fireを誘発するHeavy Weapons (: 重火器分隊)を探査で発見しないことが重要であった。ゲリラは他のゲリラ戦ゲーム同様、多くの分隊で兵士を集めて、中隊が編成できるようになれば勝てた。

 あるとき、OKD指揮下のマイキン軍が先制攻撃をやめ、OKDが言うには「苦し紛れ」にFlex missile部隊を解体して200人規模の予備兵士を作り、PO民兵を使った大規模な徴募分隊狩りをした。それ以後のプレイでは、Flex missileを解体して予備兵士を作り移動力∞を使ってマップ内をフル・スキャンして徴募分隊を狩り、重火器分隊やCR (Committee of Responssibiliy: 責任者会議)を発見すると、中隊ユニットを送り中隊ZOCで留めて、GunplatでEが出るまで攻撃する様になった。重火器分隊は狩る側から狩られる側に変化し、聖域から出られなくなった。同じ様に責任者会議も聖域から出られなくなり、徴募が滞るようになった。その結果、ゲリラは聖域近くの森に封じ込められ、市民支持ポイントが100ポイントを越えなくなり、ゲリラ側の勝ち筋が見えなくなった。今は市内に重火器分隊を入れて市内戦闘での市民犠牲でポイントを稼いだりしている。

 ゲームの紹介はB級SFゲーム分科会 が参考になる。B級SFゲーム分科会も「今でも遊んでみたい」ゲームとしているように、私もこの極端な非対称戦争は気に入っている。しかしBloodtree Rebellionは対戦相手がいないゲームの代表格である。

ニューフェニックス

 Rule bookletのBackground briefing によれば、Bloodtree RebellionはAD2840年、ほうおう座ν星(Nu Phoenix)の第5惑星Somberを舞台としている。トラベラー未来史はAD2314年に「人類の支配」が始まり、AD2742年に「人類の支配」の終わる。Background briefing の抜粋年表によるとAD2488年に星間探査機が惑星ソンバーで生命の兆候を記録、AD2740年にPO (Petrochem Orionid: ペトロ化学オリオニド)が流血樹の森(the bloodtree forests)の一部での農業権と警察権を取得とある。つまり「人類の支配」末期に開発が進み、「人類の支配」が終わって100年後に反乱が起こっていることになる。尚「人類の支配」が終わった後の暗黒期の代表的イベントはAD3401年の第1次アスラン国境戦争である。

 ほうおう座ν星は地球から15.2パーセクの距離にある。地球から見て角度的に近く固有名が良く知られている恒星は、みなみのうお座α星Fomalhaut、おおいぬ座α星Sirius、おうし座α星 Aldebaranがある。 Fomalhautは地球から7.7パーセクの距離にあり、Kinunirからスピンワード2パーセクの位置にある(Imperiumマップ上のKinunirの盤外ジャンプ先)。Sci-Fi RPGトラベラーのトラベラーマップを見ると、地球から見てFomalhautはスピン・コア・スピン方向(北をコア方向、西をスピン方向として西北西方向)、Aldebaranはリム方向、Siriusはリム・スピン方向となるので、ほうおう座ν星はだいたいリム・スピン・リム方向となる。地球からの距離を考えるとJardin星域(Sub-sector)位にあると考えられる。「人類の支配」は旧ヴィラニ帝国の版図をベースとしているのでリムワードへの拡張は遅かったと考えられる。Somberでの反乱は、GDW 未来史の空白(暗黒期)に起きた歴史に埋もれた戦いであり、Glythsはトラベラー時代までに絶滅した土着エイリアンの一種なのかもしれない。

誰かGlythsの外観を教えて欲しい。私には巨大カブトムシなのか、外骨格のカマキリ(ケンタウロス)なのか、分からない!

Reference

[1] K. Gross: The Space Gamer #27, pp. 30(1980).


1. GDW Sci-Fi Games
Bloodtree Rebellionの背景説明
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