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第5章 手札/捨て札と連続性
複数アクションの持続時間に見る国籍別特色
通常、"UP FRONT"では、1ターンに実施される、捨て札/アクションで消費されるカードが2枚であることをを第4章で示した。しかし、第4章は、安定的に手札を回すことを前提としている。実際のプレイでは、瞬間最大風速的に複数アクションを数ターンに渡って繰り出す場合が見られる。そこで、国籍別に見て、瞬間最大風速的複数アクションが何ターン程度続くのか、検討した。
Table 5.1は、独国、米国、露国の手札全てがその時点で、使用可能仮定し、50%の確率で、その後のアクションとして有効なカードを引くと期待した場合のカードの流れを示している。コラム内の1列目は、A:アクション数、D:捨て札枚数、2列目:アクション/捨て札後の手札内の有効カード枚数ー非有効カード枚数、Drは山札から引く枚数を示す。3列目は、ターン終了時の手札内の有効カード枚数ー非有効カード枚数を示している。
Table 5.1 複数アクション可能な連続時間(有効カード引き確率:50%)
ターン | 独国 | 米国 | 露国 |
---|---|---|---|
0 | 5-0 | 6-0 | 4-0 |
1 | 2A/0D 3.0-0.0 Dr2 4-1 | 2A/0D 4.0-0.0 Dr2 5-1 | 2A/0D 2.0-0.0 Dr2 3-1 |
2 | 2A/1D 2.0-0.0 Dr3 3.5-1.5 | 2A/0D 3.0-1.0 Dr2 4-2 | 2A/0D 1.0-1.0 Dr2 2-2 |
3 | 2A/1D 1.5-0.5 Dr3 3-2 | 2A/0D 2.0-2.0 Dr2 3-3 | 2A/0D 0.0-2.0 Dr2 1-3 |
4 | 2A/1D 1.0-1.0 Dr3 2.5-2.5 | 2A/0D 1.0-3.0 Dr2 2-4 | 0A/3D 1.0-0.0 Dr3 2.5-1.5 |
5 | 2A/1D 0.5-1.5 Dr3 2-3 | 2A/0D 0.0-4.0 Dr2 1-5 | 0A/2D 2.0-0.0 Dr2 3-1 |
6 | 2A/1D 0.0-2.0 Dr3 1.5-3.5 | 0A/2D 1.0-3.0 Dr2 2-4 | 2A/0D 1.0-1.0 Dr2 2-2 |
7 | 1A/1D 0.5-2.5 Dr2 1.5-3.5 | 0A/2D 2.0-2.0 Dr2 3-3 | 2A/0D 0.0-2.0 Dr2 1-3 |
8 | 1A/1D 0.5-2.5 Dr2 1.5-3.5 | 0A/2D 3.0-1.0 Dr2 4-2 | 0A/3D 1.0-0.0 Dr3 2.5-1.5 |
9 | 1A/1D 0.5-2.5 Dr2 1.5-3.5 | 0A/2D 4.0-0.0 Dr2 5-1 | 0A/2D 2.0-0.0 Dr2 3-1 |
10 | 1A/1D 0.5-2.5 Dr2 1.5-3.5 | 2A/0D 3-1 Dr2 4-2 | 2A/0D 1.0-1.0 Dr2 2-2 |
10Turn Total | 16A/10D Dr26 | 12A/D8 Dr20 | 12A/10D Dr22 |
20Turn Total | [1A/1D]/Turn 26A/20D Dr36 | [2A-2D]/2Turns 24A/D16 Dr40 | [4A-5D]/4Turns 22A/23D Dr45 |
最初に、Table 5.1複数アクションを連続で実施(ラッシュ)できるターン数を見てみる。独国はラッシュが6ターン続き、米国は5ターン、露国は3ターンしか続かないことが分かる。これに関しては、有効なアクションカードを引く確率が連続ターン数に大きく影響することは容易に想像できる。確率を1/3に下げるとラッシュのターン数は、独国:4ターン、米国:3ターン、露国:2ターンとなる。逆に確率を2/3に上げると、独国が無限に続くことになる(経験的に見て、独国がラッシュをかけても、途中で息切れすることが殆どであることから、有効アクションカードを引く確率は2/3で無いことが分かる)。独国と米国は露国より、長いラッシュ時間を持つことできる点が国籍的な利点と言える。
経験値の高いプレーヤーは、移動で入る地形を平地とし、使えないカードを捨てると思われる。Table 5.1はこのような手順を考慮していない。初期条件に2枚の移動カードがあるとすると、どの国でも2〜3ターンほどラッシュ時間が延びる。ただし、独国の場合6枚に1枚移動カードが期待できるため、ラッシュ時に、移動+射撃+捨て札、平地+射撃+捨て札とし、1枚移動カードを引くことが期待できるため、確率1/3でも6ターン、確率1/2では10ターン程度までラッシュ時間が延びることが計算できる。米国では移動カードを引くのに6.75枚必要な上、捨て札でもアクションでも、2枚ドローにため、2〜3ターンに1枚しか移動カードを期待できない。初期条件に関わらず、7〜8ターンしかラッシュが続かない(運が良いと9ターン)。露国は移動カードを引く確率は高いが、手札4枚の内の3枚分が固定されるため、初期条件に関わらず、5ターン程度しか期待できない。
この結果は、独国は、米国、露国より、ラッシュの持続ターン数が長く、プレーヤーの巧さがラッシュ時間の長さに影響することが示唆されている。また、独国は巧くプレイすることで10ターン程度のラッシュが可能となり、18〜14ターンの1デッキ時間の大半をラッシュすることができると思われる。これが独国の強さの源となっていると考えられる。
手札廻りの早さに見る国籍別特色
Table 5.1の一番最後のコラムに20ターンの合計/平均数を示した。『1ターンに実施される、捨て札/アクションで消費されるカードが2枚である』に収束している。また引き札の20ターンの合計枚数は、露国>米国>独国の順になっている。つまり、カード廻りは露国が1番良く、続いて米国、悪いのは独国ということになる。これに関しても、有効なアクションカードを引く確率に大きく依存することは容易に想像できる。確率を1/3まで下げると、手廻りの順は変わらず、その差が大きくなる(各自で表を作ってみてください)。予想通り、露国が一番手札の廻りが早く、必要なカードを引ける可能性が高いことが分かる。一方、米国は独国と露国の中間程度となっている。
一方、10ターンの合計を見ると、独国>露国>米国となっている。これは、独国のラッシュの影響である。つまり、ラッシュ中の独国の手札の廻りは露国を凌ぐが、長期的に見ると、露国の方が手札の廻りが良いと言える。米国は、ラッシュが効いている状態でも、露国を超える手札の廻りは実現できない、長期的には独国より手札の廻りが良いことが示されている。
これらの結果をまとめると、(1) 独国は、約10ターンの間、ラッシュを続けることが可能であり、その間の手札の廻りは1番良いことから、ラッシュで押し切る短期戦が向いている、(2) 露国は、ほとんどラッシュをかけることができないが、手札の廻りが1番良い国であることから、ラッシュの嵐を巧くくぐり抜けて、戦う中期戦に向いている、(3) 米国は、独国と露国の中間的な国籍であり、独国に対しては、長期戦で手札の廻りの優位性を、露国(?)に対しては、手札を貯めてからのラッシュで押し切る短期戦を繰り返すのが向いているようである。
2. UP FRONT
第4章 1デッキの時間
第6章 トレーニング
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