分室,提携サイト:ゲーム工房URA

1978 Mayday

Mayday [GDW] - Series 120 -

"Mayday" was designed by Marc W. Miller, and published from Game Designers' Workshop (GDW) and won a Charles Roberts Award in 1979. The game package had several versions, a Ziplock, a box of the series 120 size and a box of the color illustration. In Japan, the reprint issued in 1985 and 2004. This is an application of vector-based movement to spaceship combat in the Sci-Fi RPG "TRAVELLER".

 "Mayday"が、どのようなSci-Fiゲームかと聞かれれば、私は「名作Sci-Fi RPG 『トラベラー』用の宇宙船戦闘シミュレーション」と答える。それはMaydayの本質がSci-Fi RPG「トラベラー」と共にあるからである。私自身、B2からB4の学生時代にトラベラーのレフリーをしていて、宇宙船内の戦闘はSnapshotを、宇宙船外の戦闘はMaydayを使ったからである。トラベラーがあれば、Maydayは優れたシミュレーションになれる。

 Maydayを単独のゲームとしてプレイした経験は、多分1985年にホビージャパンがメイデイ日本版を発売した直後の1回だけだと思う。古い記憶では、はるぜひ君とプレイし、単独ゲームとしては、面白みに欠け、途中で止めたのだったと思う。今思えば、シミュレーションとゲームの違いを理解してなかった。

 Maydayは 、1978年にSeries 120のZiplock版として第1版が発売され、1979年のチャールズ・ロバート賞(Charles Roberts Award)を受賞している。これはMaydayが優れた単独のSci-Fiゲームとして評価されたのではなく、初のSci-Fi RPG "TRAVELLER"のサプリメント(ゲーム)として、高く評価されたと私は考えている。

 私のコレクションの逸品である初版のZiplock版"Mayday"をFig. 1に示す。内容物は黒い折り目のないヘクス・マップ4枚、120個の青色と赤色のカウンター、ヘクス・マップと同じサイズのルール・ブックである。Copyright(c) 1978のルール・ブックは、 Rodger B. MacGowanの描いた宇宙船がカバーイラストとして用いられている。1978年に2000部出版された初版Ziplock版"Mayday"のカウンターの色だけが青と赤である[1]。


Fig. 1 Game components of "Mayday" ziplock edition
A photo was the ziplock version of "Mayday". The counters color are blue and red.

 Maydayの第2版は 、1980年に"1979 Charles Roberts Award"のロゴ入りの小箱(9 x 6 x 1.5 inch) として4200箱出版された[1]。小箱のカバーイラストとルール・ブックの表紙はRodger B. MacGowanのイラストが使われている。"For Use with TRAVELLER"のシールがシュリンクラップの上に貼られている。 Fig. 2は私が所有しているSeries 120の小箱版"Mayday"である。内容物は黒い2つ折りのヘクス・マップ4枚と120個の緑色と赤色のカウンター、小箱サイズのルール・ブックはCopyright(c) 1978, 1980となっている。この版から緑色と赤色のカウンターに変更されていた。


Fig. 2 Game components of "Mayday" small boxed edition
A photo was the "Mayday" issued in the series 120 small game box. The logo of 1979 Charles Roberts Award was seen to be printed in the box. The counters color were changed from blue to green in the box edition.

 "Mayday"はDavid R. Deitrickが描いたカラーイラストの平箱(11 x 9 x 1 inch)版が第3版となる。第3版は17920箱出版されたが、2種類のコンポーネントがある[1]。Fig. 3とFig. 4は私が所有している1983年に出版された平箱版の"Mayday" 第3版である。Fig. 3の内容物は折り目のない黒いヘクス・マップ4枚と120個の駒、ルール・ブックは小箱サイズでCopyright(c) 1978, 1980である。Fig. 4の内容物は折り目のない黒いヘクス・マップ4枚と120個の駒、ルールブックは1978年のZiplock版と同じサイズ、同じ表紙でCopyright(c) 1978である。どちらのカウンターも第2版と同じ緑色と赤色である。第3版の2種類が印刷された順番や時期は不明である。"Asteroid"や"Dark Nebula"と同じようにカラーボックスのカバーイラストを白黒化したイラストを表紙としたCopyright(c) 1978, 1980, 1983のルール・ブックが同封された版があるのかもしれないが、(BGG上の情報を含めて) 未発見である。


Fig. 3 Game components of color box edition of "Mayday" 1st type
"Mayday 3rd edition" published in color illustration box in 1983.
The components in color illustration box was same as the small box edition.


Fig. 4 Game components of color box edition of "Mayday" 2nd type
The components are the same as the ziplock edition, but the color of the counter is different. The rule booklet was same size as the box.

「メイデイ」日本版は、ホビージャパンが1985年に、国際通信社がRPGamer誌の付録として2004年に出版した。両方ともSci-Fi RPG 「トラベラー」日本版が出版されてからの発売であり、狙いがトラベラーと一緒に使用する宇宙船戦闘のシミュレーション(シミュレーター)にあることは容易に想像できる。Fig. 5はホビージャパンの「メイデイ」日本版である。マップが裏打ちされたこと、トラベラーのサプリメントNo. 7「商船と砲艦」とトラベラーの宇宙船内部を書くための用紙が同封されていたこと、箱絵に加藤直之を起用していることが、この版の特徴である。もっとも宇宙船内部を書く用紙はメイデイよりは、宇宙船内戦闘ゲームであるSnapshotに付けて欲しかった(結局、Snapshotの日本版は出版されなかった)。


Fig. 5 Game components of the Japanese edition of "Mayday"
This version enclosed the paper pad to write the deck plan of the spaceship and "TRAVELLER supplements 7" booklet.

 Fig. 6は国際通信社のRPGamer誌 vol. 5 (2004) の付録とて出版された「メイデイ」日本版である。この版の駒は表裏の両面印刷で、裏面はチャフ(散乱砂)を展開している宇宙船を示すために用いる。黒い2つ折りのヘクスマップ4枚が、Series 120の小箱版を彷彿させる。現在位置カウンターで、裏面と表面のアルファベットが異なっているものがあった。

RPGamer誌5号付録のメイデイは、表面と裏面でアルファベットが異なる現在位置カウンター(宇宙船及び小型艇のA, B, D, E)があった。Fig. 6右上の修正カウンターは9号付録に収録されたものである。


Fig. 6 "MAYDAY" in the appendix of "RPGgmer Japan edition" magazine
The counters of this version is printed on duplex printing, and the back is used to represent a ship with sand cloud.

 RPGamer誌ではその後、Triplanetary的な古典Sci-Fi世界を再現する「Mayday 2100」というフォロー記事が掲載された[2]。少しでもメイディを単独ゲームとして利用できるように検討した結果と考えられる。

 Maydayの単独のボードゲームとしての評価は、古典Sci-Fiゲームへの評価が厳しい"Board Game Geek"において6.0、悪くはないが、CR賞受賞作としては少し残念な結果である。シミュレーションの基本システムはTriplanetaryと同じ、宇宙空間での慣性移動や加速、重力の影響等をベクトル演算しながら宇宙船を移動させるところにある。細かい変更は、Sci-Fi RPG「トラベラー」に合わせて、燃料残量を気にしなくて良くなったこと、宇宙船の武装が砲弾や爆雷、1回加速の魚雷、体当たりから、レーザーとミサイルに変更されたことである。

 GDWは、この後もSci-Fi RPGと連携した、小数の宇宙船による宇宙戦闘ボード・シミュレーションを、Star CruiserSky Galleons of MarsBrilliant Lancesと出版している。Sci-Fi RPGには、この種のボード・シミュレーションが必要不可欠であったことが分かる。この中のTriplanetaryとSky Galleons of Marsは、GDWの高評価Sci-Fiゲームのトップ3の2作品で、Brilliant Lancesがワーストである。正直、私には評価を分けた違いは分からない。ゲームの紹介は、B級SFゲーム分科会 が参考になる。

References

[1] Marc W. Miller: The Classic Games, pp. 25 (Far Future Enterprises, 2001).
[2] S. Tukasa, R. Katsura and T. Fujinami: RPGamer Jpn. Ed. No. 9, pp. 17(2005).


1. GDW Sci-Fi Games
Dash's Collections: All right reserved by Kazuhiro Ueda, 2006, 2022, 2023.

Club TUBG was established in 1984 as a volunteer club.
We keep enjoying Simulation/Board/CardGames, ComputerGames and so on.