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ImperiumのQ&A
FAQ of Imperium
Marc Miller's FAQ
"Imperium" [CGC Edition 1977, GDW reprint 1979, GDW Edition revised 1986]はMarc W. Millerがデザインし、世界各国でプレイされている数少ない伝説的Sci-Fiゲームである[1, 2]。
1999年5月に"Imperium"の疑問点をまとめてMarc Miller宛にe-mailで送ったところ、丁寧な返事を受け取れ、感動したのを覚えている[3]。内容に関しては、当時のNiftyの掲示板に示した。高濱氏からも質問を依頼され、Marcからの返信[4]を「インペリウム ルール訂正&解説」に掲載して頂いた[5]。また e-bayで古いDragon MagazineやMoves誌を入手し、Marc Millerの"Rules Clarification and Addenda for Imperium"やP. Kosnettの記事を読むことができた[6, 7]。一方、国際通信社が「インペリウム セカンドエディション」を出版する前後に、高濱らと同社にルールに関して、MarcのFAQを元にメールを送った。その結果、リアクション部隊の分散や、タンカーのルールのようにMarc MillerのQ&Aで明確化でき、国際通信社版で修正された部分もあったが、採録されなかった部分もあった[8]。国際通信社が取捨選択した理由を問い合わせると「今回のセカンドエディションは、日本人スタッフの手によってリファインされた『新たな日本版』と受け取っていただければ、と思います」との返事を受け取った[9]。日本版化されたインペリウムは"Imperium"のゲーム・バリエーションの1つなのだと知ることができた。そう考えると1985〜86年のホビージャパンの対応も理解できる[10, 11]。2019年の再版[12]では、再版に関係した方にRefer(リンク)してもらえたのは、Imperium 研究者の1人として嬉しいことである[13]。
ImperiumのFAQ
CGC Edition[14]とGDW reprint[15]を入手して確認した結果、両者に違いが無いことが分かった(違いは箱の大きさとマップが裏打ちされているかである)。 GDW Edition revised[16]との違いに関しては、高濱がまとめている[5]。ここではImperium CGC EditionとGDW revisedに限定して、78年〜79年に米国で出版されたDRAGON誌のRules Clarification[6]、MOVES誌のP. Kosnett氏がMarc Miller氏に電話質問した結果[7]、GDW発行のGrenadier誌[17, 18]、GRYPHON誌のレビュー記事におけるMarc Millerのインタビューコメント[19]、私が99年〜2005年にMarc Millerに質問をe-mailで送り受け取った回答[3, 4]をまとめた。このため「ImperiumのFAQ」は「インペリウムのQ&A」と異なる場合がある。
- マップとユニットに関して
- 地図盤に印刷されたジャンプ路は恒久的に使用可能である。星系間の距離が4ヘクス以内であったとしても、新しいジャンプ路を作ることは許されない。
- 宇宙艦はハイパースペースジャンプを使用するには、ジャンプ路端の星系で移動フェイズを開始する必要がある。
- ゲーム開始前にプレイヤーが合意している場合を除いて、ゲーム内のユニット数は,提供されている数に制限される。
- ユニットに印刷された値の変種を作り使用することは、ゲームを始める前に、プレイヤー間で合意をしている場合に限られる。
- NUSKU / Dushaam星系の両方の惑星地表ボックスを支配しているプレーヤーは、プレーヤーターン開始時に、NUSKU / Dushaam星系を第1種星系と扱うか、第2種星系として扱うか決定する。そのプレーヤーターン中は、NUSKU / Dushaam星系内(恒星ヘクス内、第1種惑星地表ボックス内、第2種惑星地表ボックス内)の全てのユニットが、すべての場面において、同じタイプの星系内にいるとして処理される)。ユニット毎、惑星地表ボックス毎ではないことに注意すること。
- 移動に関して
- タンカーはその移動の開始時と終了後に他の宇宙艦に燃料補給を実施できるが、移動途中に他の宇宙艦への燃料補給はできない。タンカーは、燃料補給に関連して、移動途中の一時停止と移動の完了に区別があるため、移動の完了を明示すること。
- リアクシン移動フェイズに指定できるリアクション部隊のスタックは恒星ヘクスのスタック、または惑星地表ボックスのスタックのどちらか一方だけである。
- リアクシン移動フェイズに移動するリアクシン部隊に含まれる全ての宇宙艦ユニットは、同じ目的地に移動する必要はなく、 分割して別々の星系に移動させて良い。
- リアクション部隊に宇宙艦が含まれる必要はない。地上部隊だけを指定することも可。
- 一度設置した惑星防衛システム マーカーと前哨基地マーカーは再配置不可。
- 母艦が戦闘機を収容する必要があるのは、輸送する時だけである。戦闘フェイズにある戦闘機の発進と収容は、敵支配星系に戦闘機を積載した母艦に移動し、戦闘が発生した際に、戦闘機を発進させる場合と、母艦が戦闘星系から退却する際に、戦闘機を収容するタイミングを示している。
- リアクション移動フェイズに母艦が戦闘機を積載し、戦闘フェイズに発進させることは可能である。移動フェイズ中の輸送(積載と荷下し)と、戦闘フェイズ中の発進と収容とは、それぞれ別フェイズの別の活動である。
- 戦闘機を積載している母艦だけでは、敵の移動を停止できない。恒星ヘクスに母艦と母艦に収納されてない戦闘機がある場合は、敵の移動を停止できる。
- 移動フェイズに輸送され、星系で荷下された積荷は、惑星地表ボックスに置かれる。輸送艦は惑星地表ボックスに降下するのではなく恒星ヘクスに留まり、積荷だけが惑星地表ボックスに置かれる。
- 移動フェイズ開始時に敵宇宙艦と同じ星系ヘクスにある宇宙艦は、ジャンプ移動、亜光速移動でその恒星ヘクスから離れることができる。
- 惑星地表ボックスに居る宇宙艦は、(敵前哨基地があったとしても、攻撃を受けることなく)移動フェイズに恒星ヘクスに移動できる。[6]
- 惑星地表ボックスにいる宇宙艦が恒星ヘクスに移れるのは、戦闘フェイズの惑星地表/宇宙インタラクション サブフェイズ(もし、敵前哨基地があるなら、惑星防御射撃を受ける)と宇宙戦闘サブフェイズに味方宇宙艦に合流する場合である。[4]
[6]は1978年、[4]は2005年のMarc Millerの回答である。また、1997年に運営されていたMPG-Net版ImperiumのHelp Fileの移動ユニットを選択する画面上の説明には、惑星地表ボックス/恒星ヘクスの区別は示されてない[20]。Marcが、いつ解釈を変えたのかは不明だが、2005年のMarcは、惑星地表ボックスと恒星ヘクス間の移動は星系ヘクス内の位置変更で、移動ではないとしていた。
インペリウム セカンドエディション2019は文献[6]に従って明確化のルールが追加してある。
- 戦闘に関して
- もし、リアクション部隊(スタック)が他の友軍ユニットがすでに存在している星系に入ったら場合、その星系内の友軍ユニットもリアクション部隊としてその星系の発生する全ての攻撃に参加できる(参加しなくても良い)。
- 第1、第2戦闘フェイズにおいても、リアクション戦闘フェイズ同様に、惑星地表ボックスの宇宙艦は同じ星系の恒星ヘクスで発生した戦闘に参加できる(参加しなくても良い)。
- 基地を失った戦闘機は,ターン終了時に機能を停止する。ターン終了時点で、戦闘機が存在する星系内に、自軍の母艦/前哨基地/ワールドが無い場合、それらの戦闘機は直ちに除去される。
- 宇宙戦闘において、退却を宣言する順番はフェイズプレーヤーからである。
- 地上戦闘はマストアッタックのため、攻撃側に非地上軍ユニットしかない場合でも、地上戦は発生する。
- 経済に関して
- 接続(CONNECT)のための経路が、第3種星系を通る場合は、接続の経路を確認する際、その第3種星系にタンカーが居なければならない。
- 母艦(MS)は敵艦隊の移動は妨げないが、接続は妨害できる。
- ジャンプ路がつながっていない第2種星系のSmade's star(スメイズ・スター)とLuuru(ルーウル)に置かれた帝国の前哨基地は収入において接続しているものと扱う。
- 生産された宇宙艦は接続されている星系ヘクス(恒星ヘクスと惑星地表ボックスの両方を含む)に配置できる。地上部隊と戦闘機は同時に生産された輸送艦/母艦に積載した状態で配置しても良い。輸送艦/母艦に積載されない地上部隊と戦闘機は惑星地表ボックスに配置する。
- 帝国に関して
- 帝国の補充で与えられる部隊は、帝国中央からの増援ではなく、新造部隊と同じである。
- 内戦において、政府軍を支持するには20ミサイル力以上、反乱軍を支持するには10ミサイル力以上の部隊を派遣しなければならない。
- 支持している軍が敗北した(兵力はこっそりと送られるので、敗北しても長官に対する直接の懲罰はないものとする)、または、中立を保った場合、予算は永久的に3 RU減らされる。
- 支持した政府軍が内戦に勝利した場合、サイを1個ふり、その目の数だけのRUの予算の増額を艦隊の帰還した次のターンから永久的に与えられる。
- 辺境地の危機、名ばかりの増援、増援、攻勢命令、内戦に応じて派遣/登場する艦隊はイシュクール(ISHKUR), ディンギール(DINGIR), キンニール(Kinunir), ガッシッダ(GASHIDDA)と盤外を結ぶジャンプ路をハイパースペースジャンプで移動する。整備不良艦は派遣できない。また、亜光速移動での派遣/登場も不可。盤外に派遣し、帰還する宇宙艦は整備状態で登場する。
- 直訴表の戦力増強のサイの目が12の場合: どれでも3ユニット授与。
- 平和に関して
- 保持可能(TENABLE)な前哨基地とは、その星系からワールド迄をつなぐジャンプ路の間に、非中立化の敵ワールドや敵前哨基地が無い前哨基地である。ジャンプ路の始点と終点ではなく、その間の星系に非中立化の敵ワールドや敵前哨基地の有無で判定されることに注意すること。例えば、NUSKU / Dushaam星系の場合、NUSKUとDushaamが別々の所有者となっても、保持可能(TENABLE)は始点/終点の星系を含まないので、Dushaamを有する陣営も保持可能となり、NUSKU迄つながる前哨基地も保持可能となる。
- 両プレイヤーは、各平和のターンに1前哨基地を、自己のワールドと連絡のつく星系の惑星地表ボックスに置ける。
- 平時の植民地化で前哨基地を配置できる星系は、保持不可能(UNTENABLE)でない、接続可能(CONNECTED)な星系だけである。平和時に第3種星系にタンカーが配置されてないため、戦争中にSIRIUSを越えた星系(例えば、帝国がProcyon、地球がMarkhashi)に配置した前哨基地は保持可能で除去されない。しかし、平和時の植民で(例えば、帝国がProcyonに、地球がMarkhashiに前哨基地を持っていても、その先に) 前哨基地を配置するには、第3種星系を通過しないで、その星系の接続先となるワールドを保持する必要があることを、このルールは示している。
- 第1種星系の惑星地表ボックスに味方の前哨基地があり、その基地が設置されてから、累積で5平和ターンを経過したものは、味方のワールドになる。前哨基地マーカーをワールドマーカーと取り替えること。
- 1次戦争開始時の配置
- 未設置とされていない地球の前哨基地マーカーと惑星防衛システム マーカーは惑星地表ボックスに配置すること。
- 帝国は最初、SIRIUSにタンカーを配置することはできない。これは帝国がProcyonに前哨基地を配置できないようにすることを目的としている。
- 特に置く場所を指定されていない、全ての帝国の前哨基地マーカーとワールド マーカーは、1つのジャンプ路を介してお互いに接続するように配置しなければならない。
- 第1次戦争開始時: 地球は、第1ターンの整備は不要。
帝国前哨基地の配置制限は文献[19]、地球の整備不用のルールは文献[6]にある。
Imperiumのゲームバランスは地球に厳しいので、このルールを用いた方が良い。
トラベラーで見るインペリウム
インペリウムのGDW公式設定(ソロマニ・リム宙域)で確定している恒星名
- Terra(SOL)
- Barnard(Barnard's star)
- Agidda(Ross 154)
- Nusku(61 Cygni)
- Mirabilis(82 Eridani)
- Meshan(Epsilon Indi)
- Sirius(SIRIUS)
- Fenris(Procyon)
- Prometheus(ALPHA CENTAURI)
- Iilike(Tau Ceti)
- Kagukhasaggan(L205-128)
- Altair(ALTAIR)
References
[1] M. W. Miller: The Classic Games, pp.8 (Far Future Enterprises, 2001).
[2] M. Bennighof: Avalanche Press HP 'Imperium': A Tale of Obsession(2006).
[3] Private discussion using e-mail since May 4, 1999.
[4] Private discussion using e-mail since March 25, 2005.
[5] T. Takahama: 『インペリウム ルール訂正&解説総集編』.
[6] M. W. Miller: The Dragon #20, pp.4, pp.28, pp.31, III(No.6)(1978). Ref.
[7] P. Kosnett: Moves #37, pp.16(1978). Ref.
[8] Imperium rules booklet(Kokusai-tushin Co., Ltd.: 2001).
[9] Private discussion using e-mail since Mach 7, 2001.
[10] Editor: TACTIC Mgz. Jpn. No.21, pp.108(1985),
[11] Editor: TACTICS Mgz. Jpn. No.27, pp.115(1986).
[12] Imperium rules booklet(Kokusai-tsushin Co.: 2019).
[13] TORO: Privet blog TROOPERS.
[14] Imperium rules booklet (Conflict Game Co.: 1977).
[15] Imperium rules booklet (GDW: 1979).
[16] Imperium rules booklet (GDW: 1990).
[17] P. Kosnett: The Grenadier #1, pp.9(No.2)(1978).
[18] F. A. Chadwick: The Grenadier #1, pp.15(No.2)(1978).
[19] S. List : GRYPHON #1, pp.6(1980).
[20] MPG-Net Imperium Help Files (1997). Wayback Machine.
1. Imperium
第2回 宇宙戦闘の見積
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