分室,提携サイト:ゲーム工房URA
帝国と暗黒星雲
Imperium & Dark Nebula
インペリウム、再び
2019年、国際通信社がインペリウム セカンドエディションを再版した[1]。それに合わせてTUBGの集まりで久しぶりにインペリウムをプレイした。その際に、SPLさんから「カウンターの値を変えられると、また別の楽しみ方ができるのでは?」との話が出た。SPLさんの指摘は的を射ており、これを書くきっかけとなった。ImperiumでDark Nebulaのカウンターを使うヴァリアントはLettowの"Integrating Dark Nebula Units into Imperium"がある[2]。Lettowは、Dark NebulaとImperiumのカウンターの違いをテクノロジー進化として利用している。
最初にDark NebulaにImperiumのカウンターを持ち込むことを試みた[3]。その中で問題となったのは、Imperiumの性能・建造費ルールで、Dark Nebulaの打撃巡洋艦(CS)の性能と主力艦(B / B1, B2, BB)の建造費を再現することであった。
Dark Nebulaに登場する主力艦の建造費は、Imperiumの建造費の75~81 %程度である。最初に、この違いを大型艦を建造するテクノロジー進化による技術力の違いとして再現する方法を検討したが、性能とコスト、技術力修正と巡洋艦クラスとのバランス調整が難しかった。そこで、Dark Nebulaに登場する国家(Aslan Hierate / Solomani confederation)とヴィラニ帝国、地球連邦(連合)の違いを考える中で、中規模恒星間国家(アスラン/ソロマニ)本国が、地方での軍事活動を支援する目的で主力艦の建造を補助金として支援(補正)していると扱う方法を考えた。これによりImperium、Dark Nebulaそれぞれで同じ艦種をゲームに応じた建造費で使用する見通しを得た[3]。
ここでは、Dark Nebulaのカウンターを地球軍として使う方法を紹介する。カウンターはDark Nebula 3〜6セット分を使うか、自作する必要がある。
地球人改め、ソロマニ人です !
ソロマニ勢力の宇宙艦の数値を地球艦隊として見ると、地球と帝国の戦争が地球艦隊に与えた影響を考えてしまう。また、安価なミサイル艇を求める声に対する回答になるかもしれない。しかし、それは、ここで語ることではなく、ボード上で感じるべきことである。
Table 1にソロマニ・地球軍の一覧を示した。モニター艦(M)、母艦(MS)、戦闘機(F)、輸送艦(TR)、タンカー(AO)、地上軍(RT, JT)、惑星防衛システムマーカー(PDM)、前哨基地マーカー(OPM)、ワールドマーカー(WLM)はImperiumのカウンターをそのまま使用する。ダークネビュラ日本版[4, 5]では、母艦(MS)、戦闘機(F)は帝国と同じ数値となっていたが、Imperiumに導入するに当り、帝国と同じ性能だとつまらないので、地球軍の宇宙艦をそのまま使用する。艦隊総数が変化しないように、Bの艦隊数をCAに、BBの艦隊数をB1に、MBの艦隊数をB2に配分した。
- B2の文明地での整備費用は、維持値の半分にあたる3ルーとする。
辺境地での整備は、維持値6のモニター艦と同じように扱う(味方前哨基地のある星系では、費用を払う整備が選べる)。 - 建造制限は無。
- 開始時戦力は、 MBx1, CLx1→CSx1 または MS(Fx3)のどちらかを選択。
Table 1 Unit list of Solomani-Terran forces
Code | Ship Type | Cost | BF-MF-SF[M#] | # |
---|---|---|---|---|
SC | Scout | 1 | 0-2-1[1] | 11 |
DD | Destroyer | 3 | 0-4-1[2] | 11 |
CL | Light cruiser | 6 | 5-2-3[3] | 11 |
CS | Strike cruiser | 10 | 5-8-5[4] | 11 |
CR | Heavy cruiser | 12 | 7-2-6[4] | 11 |
CA | Attack cruiser | 14 | 7-4-5[4] | 5 |
B1 | Dreadnought | 18 | 9-10-9[5] | 6 |
B2 | Improved Dreadnought | 8 | 3-10-9[6] | 11 |
TR | Transport | 1 | 0-0-1[1] | 11 |
AO | Tanker | 2 | 0-0-1[1] | 2 |
MS | Mother ship | 7 | 0-0-2[1] | 2 |
F | Fighter | 1 | 2-1-2[1] | 11 |
M | Monitor | 6 | 9-0-8[3] | 11 |
ソロマニ勢力のB1は、地球軍のBとBBの中間の性能なので、建造費はB2と同じ18 RUとした。その代りにソロマニ勢力B2の建造費はBと同じ16 RUとし、ダークネビュラのルールに従って建造費を半額(16÷2 = 8 RU)とした。
猫耳は地球を救うか?
アスラン勢力宇宙艦と帝国の宇宙艦は、大型艦がビーム強化型か、ミサイル強化型かの違いはあるが、バランスが良く扱い易い。その意味ではアスラン型で帝国と対戦すると、ミラーに近いので相互いの強みが見えにくいかもしれない。しかし、個々の宇宙艦の性能バランスの悪さに悩まされる地球軍としては、ミサイル艇と性能バランスの良い小型艦のどちらが良いかを知る機会に、なるはずである。
Table 2にAH地球軍の一覧を示した。モニター艦(M)、母艦(MS)、戦闘機(F)、輸送艦(TR)、タンカー(AO)、地上軍(RT, JT)、惑星防衛システムマーカー(PDM)、前哨基地マーカー(OPM)、ワールドマーカー(WLM)はImperiumのカウンターをそのまま使用する。これで星系に立て籠もる場合に差がつくと思う。
- 建造制限は無。
- 開始時戦力は、MB→SC、DD。
Table 2 Unit list of AH-Terran forces
Code | Ship Type | Cost | BF-MF-SF[M#] | # |
---|---|---|---|---|
SC | Scout | 1 | 1-1-1[1] | 11 |
DD | Destroyer | 3 | 2-2-2[2] | 11 |
CL | Light cruiser | 6 | 5-2-4[3] | 11 |
CS | Strike cruiser | 10 | 3-9-5[4] | 11 |
CR | Heavy cruiser | 12 | 6-6-6[4] | 11 |
B1 | Dreadnought | 16 | 9-8-9[6] | 6 |
B2 | Improved Dreadnought | 18 | 10-8-9[5] | 6 |
BB | Battleship | 20 | 11-9-9[5] | 5 |
EX | Frigate | 4 | 3-3-2[2] | 5 |
TR | Transport | 1 | 0-0-1[1] | 11 |
AO | Tanker | 2 | 0-0-1[1] | 2 |
MS | Mother ship | 7 | 0-0-2[1] | 2 |
F | Fighter | 1 | 2-1-2[1] | 11 |
M | Monitor | 6 | 9-0-8[3] | 11 |
艦隊数に関しては、MB、B、BBの22個艦隊をB1、B2、BBに配分することになる。アスラン勢力の戦艦数はB1:B2:BB = 3:2:1 だが6:6:5とし、残りの5個艦隊をフリゲート(Frigate)としてEX(3-3-2[2])に配分した。
打撃巡洋艦のミサイル力
ImperiumとDark Nebulaでは、打撃巡洋艦(CS)の性能が大きく異なる。宇宙艦設計ルールを検討する中で、CSのミサイル力は、暗黒星雲の科学上の価値にあるミサイル技術に類する技術が適用されていると考えると、理解し易くなった。DM+1のミサイル射撃は、集中射撃を考えなければミサイル力+3に相当する。5-8-5[4]と3-9-5[4]の打撃巡洋艦は、5-5-5[4]と 3-6-5[4]のミサイル力が強化されたものだと考えると、CSの性能と建造費の関係がImperiumに近くなる。
この修正は、Dark Nebulaのカウンターをそのままでは使えなくなるため、本論の主旨からは少し外れるが、ImperiumにDark Nebulaの艦艇を持ち込んでプレイするとき、Dark Nebula のCSの性能が理不尽に高いと感じるのであれば、次のようにカウンターを作り直すか、読み替えると良い。
- ソロマニ型打撃巡洋艦(CS) 5-8-5[4]→5-5-5[4]に変更する。
- アスラン型打撃巡洋艦(CS) 3-9-5[4]→3-6-5[4]に変更する。
カウンターの数値変更の影響
Table 3に、偵察艦SC3種(2-0-1, 1-1-1, 0-2-1)と駆逐艦DD3種(3-1-2, 2-2-2, 0-4-1)の1対1での戦闘をモンテカルロシミュレーションした結果を示す[6]。距離決定において、赤は長距離を、青は短距離を志向する形でシミュレーションした。 1対1の場合は1-1-1、2-2-2の勝率が高いことが分かる。またカウンターの数値を変更すると、「じゃんけん」ほどではないが、組み合せにより勝率が大きく変化することが分かる。また単艦と艦隊でも結果が異なるので、カウンターの数値変更は、上手くルールを作れると楽しめるかもしれない。
Table 3 Space battle results for scouts and destroyers
red | blue | red win | blue win | draw |
---|---|---|---|---|
0-2-1 | 2-0-1 | 56 % | 44 % | 0.0 % |
1-1-1 | 2-0-1 | 70 % | 15 % | 16 % |
1-1-1 | 1-1-1 | 39 % | 39 % | 23 % |
0-2-1 | 1-1-1 | 32 % | 53 % | 15 % |
0-4-1 | 3-1-2 | 31 % | 54 % | 15 % |
2-2-2 | 3-1-2 | 53 % | 28 % | 19 % |
2-2-2 | 2-2-2 | 39 % | 38 % | 23 % |
0-4-1 | 2-2-2 | 31 % | 54 % | 15 % |
0-2-1 | 3-1-2 | 31 % | 54 % | 15 % |
1-1-1 | 3-1-2 | 23 % | 55 % | 22 % |
1-1-1 | 2-2-2 | 25 % | 53 % | 23 % |
0-2-1 | 2-2-2 | 31 % | 55 % | 14 % |
0-4-1 | 2-0-1 | 71 % | 29 % | 0.0 % |
2-2-2 | 2-0-1 | 71 % | 10 % | 19 % |
2-2-2 | 1-1-1 | 55 % | 24 % | 22 % |
0-4-1 | 1-1-1 | 43 % | 37 % | 20 % |
References
[1] Imperium rules booklet (Kokusai-tushin Co., Ltd.: 2019).
[2] Lettow: "Integrating Dark Nebula Units into Imperium" (2021).
[3] K. Ueda: Dash's clinic: Imperium "Beyond the Dark Nebula" (2021).
[4] Dark Nebula rules booklet: RPGamer Jpn. Ed. No.9 (2005).
[5] Dark Nebula rules booklet (Kokusai-tsushin Co.: 2021).
[6] K. Ueda: Dash's clinic: Imperium "Estimate space combat results" (2021).
更新履歴
・Tableの番号を変更(2022/08/04)
・Referenceを追加 (2022/11/19)
1. Imperium
第9回 帝国の戦役
付録B ダークネビュラ
Dash's Clinic: All right reserved by Kazuhiro Ueda, 2021.
Club TUBG was established in 1984 as a volunteer club.
We keep enjoying Simulation/Board/CardGames, ComputerGames and so on.