分室,提携サイト:ゲーム工房URA

1979 Belter

Belter [GDW]

"Belter" was designed by Marc W. Miller and Frank Chadwick. The game was published by Game Designers' Workshop (GDW) in 1979. This is economic Sci-Fi multi-players simulation game in asteroid exploration and development. Even if games are made about asteroids or managing asteroid mining companies, it is unlikely that simulations with elements of exploration, management or insurgency will be made in future.

 "Belter"はB3〜M2の時代に良くプレイしたシミュレーションの1つである。良くプレイしたので、アステロイド開発ゲームと言えば、Belterが最初に思い浮かぶ。1995年に"2038: Tycoons of the Asteroid Belt"[TimJim]をプレイしたときに、思わず"1830: Railways and Robber Barons"[AH]ではなく、Belterと比較した位、印象深いシミュレーションである。Belterは1982年にホビージャパンが輸入して和訳付きで販売していたゲームで、周りに持っている人が数人いたことから、比較的流通個数が多かったゲームに思われる。

 Fig. 1は、1982年に和訳付きで輸入された、1979年版"Belter"である。GDWの平箱(11 x 14 x 1 inch)は初版と再版で駒(ユニット)の厚みが異なる。1mm厚のユニットは、1979年印刷版であり、1.2mm厚のユニットは1983年印刷のreprint版である。GDWの平箱は1度以上、reprintされているようであるがreprint版内の区別はできてない。カバーアートは、Stephen Fabian のイラストが用いられている。日本では、Fabianのカバーアートはあまり人気がないように感しているが、Belterのセピア調のカバーアートは未来から見たアステロイド採掘を思わせて面白い。


Fig. 1 Game components of "Belter"
This game seem the establishment of a venture company by the babble boom of asteroid development. The cover art was illustrated by Stephen Fabian.

 Belterはアステロイド採掘ゲームというよりはアステロイド採掘ベンチヤーの起業マネージメント・シミュレーションである。自転車操創業期、事業拡大期、飽和期とベンチャー企業のS字カーブを経験できる。全てのプレーヤーが闇雲にアステロイド探査をして、資源が潤沢なアステロイドを見つけて気ままに採掘をしていた。何時までも事業拡大を続けていたため、勝敗は時間制だった。

 ベルト管理局(OBM)、巨大企業、第3国が支援した海賊、タンカー&牽引サービスや保険等の興味深かいバリアント[1]も発表されているので、仲間と再びプレイしてみたいシミュレーションである。

 昔、プレイしていたときは、プレーヤーは勝敗に関係なくアステロイド開発を楽しんでいた。そのため海賊もベルターによる反乱も見たことも経験したことも無かった。しかしBoard Game GeekのBelterには"The first player to get 'into' money (pure luck) buys a fleet of fighters and blows the other players off the map."「(純粋な運で)資金を得た最初のプレーヤーが戦闘機の艦隊を購入し、他のプレーヤーをマップから吹き飛ばす」とRatings & Comment にコメントされてたり、TOROのblog[2]を見て、PKFの役割と狩猟型プレーヤーが自分達の周りに居なかっただけであることが理解できた。

 2038 [TimJim]やFar Space Foundry [Terra Nova Games]のように宇宙戦闘ルール等を無くせば、海賊的な展開を避けることができる。しかし当時のプレーヤーが、採掘用レーザーを宇宙船に向けたり、CT(Contra-Terrene-Matter)を施設に落としたりした結果をシミュレーションに求めることは容易に推測できる。宇宙戦闘ルールはアステロイド採掘のゲームには不要だが、アステロイド・ベルトで活動するベンチャー企業/海賊企業の経営シミュレーションとしては必要と言える。

 Board Game Geek は、古典Sci-Fiゲームの評価が低くなる傾向にある中で、"Belter"の評価は6.1。評価サンプル数が少ないが普通の評価である。今はアステロイド採掘ゲームは他にも多くあるので仕方が無い結果である。ゲームの紹介はB級SFゲーム分科会 が参考になる。

 社会人生活を経た今では、Belterのプレイでも、市場からの往復時間が短いアステロイドから優先して探査して開発してキャツシュ・フローを確保することや、運搬時に資源不足にならないように在庫管理する等、効率良く収益を上げる経営(プレイ)が求められていることが分かるようになった。その結果、Excelでの在庫管理(Belterプレイ用のEXCELファイル: Belter_std, Belter_adv)を含めて、100万クレジットの目標額制でも100ターン位で決着しそうである。今は、更なるプレイ時間の短縮方法を検討している。2~3時間以内で決着するように時短できれば、もっと楽しめるはず[3, 4]。

アステロイド・ベルト

 Belterには1ヘクスのスケールがマップ上に無く、ルールにも記載されてない。アステロイド・ベルト(メイン・ベルト)は、太陽から2.3~2.8 AUの範囲(天頂方向への広がりは無視)の領域で、発見済(末登録含む)の小惑星が34万個、直径1 km以下のものを含めると1億個ほど存在すると考えられている。平均すると1辺 21,200 kmの正方形内に1個存在することになる。Belterのマップは22 x 28インチで、この中に232個のアステロイドと3個のプラネロイドがある。平均すると1辺1.62インチの正方形内に1個あることになる。縮尺は大雑把に13,094 km : 1 インチ(5,155 km : 1 cm)となる。従って平行な2辺間の距離が2/3インチの1ヘクスの幅は8,730 km、マップは288,100 km x 366,600 kmと考えられる (地球-月の距離が平均で384,400 km、最接近時で357,000 kmである)。

 BGGにアステロイドの調査結果のマーカーが投稿されていたので、アステロイド調査のチット・プル化を試みた。アステロイド調査チットは、凍結ガス アステロイド(101個)用に36枚3セット(白色108枚)、金属アステロイド(70個)用に36枚2セット(薄緑色72枚)、岩石アステロイド(59個)用に36枚2セット(薄橙色72枚)を用意した。Asteroid_chits.pdf

チット・プル化のため、CTチェックのサイコロの目と鉱脈数を決めるサイコロ目を1回にまとめた。CTが出現する確率は同じだが、金属アステロイドで1x4 (Richness x Extensiveness)、岩石アステロイドで1x2の確率が5/216から0に減少し、他の確率が5/216から1/36に増加した。元ルールに近い確率にするため、金属アステロイド72枚中の1x2チット1枚と1x1チット1枚を1x4チット2枚に、岩石アステロイド72枚中の1x1チット2枚を1x2チット2枚に変更してある。1x2や1x4で採掘することは非常に珍しいことなので、ゲームへの影響は殆ど無い。

References

[1] R. Camino: J. Traveller’s Aid Soc. No. 6, pp. 6(1980). バリアント
[2] TORO: Privet Blog Troopers.
[3] K. Ueda: "Compress the playing time of the Belter" (2021).
[4] K. Ueda: "Reduce the playing time of the Belter" (2023).


1. GDW Sci-Fi Games
Belterの時短
Dash's Collections: All right reserved by Kazuhiro Ueda, 2005, 2021, 2023.

Club TUBG was established in 1984 as a volunteer club.
We keep enjoying Simulation/Board/CardGames, ComputerGames and so on.