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1980 Dark Nebula

Dark Nebula [GDW] -Series 120 -

"Dark Nebula" was designed by Marc W. Miller and published from Game Designers' Workshop (GDW) in 1980. The game was designed sequel of "Imperium". The 2nd edition in color box edition came out in 1983. The japanese version was published in a RPGamer Japan edition in 2005, and was reprinted in the boxed version in 2021. Dark Nebula is called Imperium's little sister, based on the popular, award-winning space war rules introduced in Imperium.

 "Dark Nebula"を本格的にプレイしたのは、1986年にMORICO先輩からDark Nebulaを譲ってもらい、ユニット表面をコーティングしてからである。「インペリウム」に漬かっていた私は、それ以前にも借りたことはあったが、ユニットの色落ちが怖くて遊べなかった。短時間でゲームが終わるため、インペリウム好きの知人と繰り返し対戦した。Dark Nebulaの特徴の1つに毎回マップの配列が変わる点がある。このゲーム・メカニズムは今ではモジュラーボード(Modular Board)と呼ばれているが、当時の生産ルールがあるゲームとしては斬新であった。

 何度もプレイしていると、R. Caminoが指摘している問題点[1]を含めて、Dark Nebulaの問題点を色々と分析するようになった。問題の解決策として、追加ユニットの自作やルール改訂等をしてみたが、私の実力不足もあり納得のいく解を見出せなかった。

 分析を始めた当初、Dark NebulaはImperiumを普及させる(紹介する)ための安価なミニゲームとしてデザインされたと考えていた。ある時、この前提が誤っていることに気がついた 。Dark Nebulaのマップをヘクス番号順に並べた基本設定マップは、ゲームの流れ(アスランのソロマニ奇襲から、ソロマニが反撃していく流れ)や収入バランス等が、かなり巧みにデザインされていた。つまり、Marc Millerは巧くデザインしたマップを、わざとバラバラに切り離し、固定マップのImperiumを飽きるほどプレイしたプレーヤー達に、マップが変わるImperium風ミニ・シミュレーションDark Nebulaを提供したと考えられた。

 そのように考えると、ルールに拘らずマップを好きな様に並べたり、Imperiumのユニットを混ぜたりすることに抵抗を感じななり、更にDark Nebulaを楽しめるようになった。そして私がDark Nebulaの改良に拘っていた理由も納得できた。マップが変化する自由度や、ユニットの数値が変化する自由度を簡単に与えられるインペリウム・システムの懐の深さを感じた。一方で、多少の変更ではインペリウム風ゲームから脱出できないため、後の作品に恵まれ無かった理由も分かった。

 Fig. 1は1982年にホビージャパンが輸入して和訳付きで販売していた、Series 120の小箱(9 x 6 x 1.5 inch)版"Dark Nebula"である。カバーアートは、Stephen FabianのThe Sleeping Beast をCharles Bernardがアレンジしたイラストに見える。


Fig. 1 Game components of "Dark Nebula 1st Edition"
The "Dark Nebula 1st Edition" issue in Series 120 game box. The cover art is illustrated by Stephen Fabian and Charles Bernard.

 Fig. 2は、1983年の第2版、Charles Bernardが描いたカラーイラストの平箱(11 x 9 x 1 inch)版"Dark Nebula"である。Marc MillerのThe Classic Games [2]にも第2版の記述がないので、見逃していたが、国際通信社の指摘[3]のように、中立国との交渉と改良型ド級艦(B2)の生産特別ルール等が変更されていた。第2版ルールは論理的に良い方向の改訂されたと感じている。Fig. 3は、カラーイラストの平箱に第1版のコンポーネントが入っている"Dark Nebula"1.5版と言うべきものである。同じカバーイラストのボックスに収められた異なる版のルールは、MaydayAsteroidでも見られる (Triplanetaryは古い版のカウンターシートが同封された平箱版がある)。


Fig. 2 Game components of "Dark Nebula 2nd Edition"
"Dark Nebula 2nd edition" is packed in a box covered with color art drawn by Charles Bernard. In this version, a rule booklet is same size as box and the rules have been revised bits.


Fig. 3 Game components of "Dark Nebula" in a color illustration box
Game components of this Dark Nebula in color illustration box is same as 1st edition.

 Fig. 4は、2005年に国際通信社がRPGamer日本版 Vol.9の付録として出版した「ダークネビュラ」日本版である。ダークネビュラ日本版のルールは、初版のルール(1980年)ではなく、1983年の平箱版が元になっている。日本版には、改良型ドレッドノート(B2)に関する整備特別ルールの誤訳もあるが、空母等の追加ユニットも付属し、国際通信社の改良が良い方向に働いたと感じている。速水螺旋人さんのリプレイ漫画[4]はアスラン人を猫耳族ぽくしてあり、私の中のアスラン人のイメージを変えてくれた。


Fig. 4 An Appendix version "Dark Nebula 2nd Edition" in A RPGamer Japan edition
In this version, there are extra units that made japanese animations and novels in roots.

 Fig. 5は 2021年に国際通信社(K2)がボックス版として再版した「ダークネビュラ」日本版である。2020年前に再版されたアステロイドと同じ様に、ユニットが1辺15 mmに大きくなり、マップが裏打ちされ、速水螺旋人さんのリプレイ漫画[4]も再録された。RPGamer日本版の「お詫びと訂正」[6] との差異については、「コマンドマガジン編集部が一度白紙に戻して検証し、不明瞭な部分は部内で判断し、日本語版としてリファインした作品のため、一部は前作と異なる」とのこと[7]。しかし、ユニットの誤植が修正されてなかったのは非常に残念である。ユニット誤植部分 を引用しておく[6]。
アスラン探索艦(EX)ユニットのシールド力が誤っています。
誤:3−3−2
正:3−3−3


Fig. 5 Game components of "Dark Nebula 2nd Edition" revised
The edition on this map is printed on the cardboard and the counters are expanded to 15 mm.

 B級SFゲーム分科会 でのダークネビュラはインペリウムのミニ姉妹版としての評価であった。また"Board Game Geek"での評価は6.4。Series 120の中では、多くの人がプレイし、評価数も多く、古いSci-Fiゲームとしては良い方である。

ダークネビュラの背景

 RPGamer9号[3]と再版ルールブック[5]では、背景説明が無いとして考察されているが、第2版のボックスとルールブックには、次の背景説明文が書かれている。

Two thousand years in the future, the Solomani Confederation and the Aslan Hierate have expanded their interstellar empires to the point where their fleets confront each other, between the stars, even the mysterious, unexplored region of the dark nebula become battlegrounds for warring.

OUT THERE
In a region of space rim-ward from Terra, at some time in the far future, the revitalized Solomani Confederation is struggling to establish a stellar empire simultaneously with the Aslanic Hierate. Both cultures are fighting for position, and they find themselves squared off and ready for war...

 この文章には"二千年後の未来"とある。ゲーム発売(第1版は1980年、第2版は1983年発売)から約二千年 (1500〜2499年)後の未来、つまりAD3400〜4500年頃物語であることが分かる。トラベラー未来史年表 [GDW]によると、AD3399 (帝国歴-1118)年に始まりAD4901 (帝国歴380)年のフタハルの平和 (Peace of Ftahalr) の締結により終戦した「アスラン国境戦争」は、ダークネビュラ宙域(Dark Nebula Sector)の人類が定住する星系にアスランが進出し、様々なアスラン氏族(当時のアスランに統一政府はなかった)と人類の分派国家(暗黒時代のため、人類の中央政府は存在しない)との間で頻発した一連の小さな戦争/紛争とある [8]。

 復活したソロマニ連邦(The revitalized Solomani Confederation)は、(古の)ソロマニ連邦の時代(人類の支配)に恒星間に広がった人類の一部が、暗黒時代に再結成したソロマニ連邦と称する恒星間国家と考えられる。また、Aslan Hierateの星系KUZUは、様々なアスラン氏族が獲得した星域の主都星系の名称を△◇◎氏族のKUZU (アスラン発祥の星系KUSYUと発音が似ている)と名付けていたためと考えられる。

 つまり、Dark Nebulaは、ソロマニ連邦と称する人類の分派国家の国境星域を、Aslan Hierateの一つのアスラン氏族が奇襲した「アスラン国境戦争」に含まれる一つの小さな戦争/紛争をゲーム化したと言える。

Confederation
連邦国、連合国と邦訳される。インペリウムにおいてTerran Confederationは地球連邦と訳されてきたので、ここでは連邦と表記する。

References

[1] R. Camino: The Dragon #41, pp. 37 (1980).
[2] Marc W. Miller: The Classic Games, pp. 153 (Far Future Enterprises, 2001)
[3] R. Hayami: RPGamer Jpn. Ed. No. 9, pp. 12 (2005).
[4] R. Hayamizu: RPGamer Jpn. Ed. No. 9,pp. 30 (2005).
[5] Dark Nebula rules booklet (Kokusai-tsushin Co.: 2021).
[6] RPGamer Jpn. Ed. FAQ: http://www.kokusaig.co.jp/RPG/rpgamer09.htm.
[7] Private discussion using e-mail since April 20, 2021.
[8] Marc W. Miller: The Classic Supplements; Library Data (A-M), Supplement 8, pp. 12 (Far Future Enterprises, 2000).


1. GDW Sci-Fi Games
Dash's Clinic: Dark Nebula
Dash's Collections: All right reserved by Kazuhiro Ueda, 2005, 2021, 2023.

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